しかし実際の彼は国境が閉ざされることを伝えたり、トラップ一家の逃げる手助けをしたりしています。
人としてトラップ一家を大切に思っていたのです。
スイスへの山越えはしていない
実際は列車でイタリアへぬけその後フランスを経てイギリスへ、そして船に乗船しアメリカへ渡っています。
いずれにしても亡命には大変な苦労をしています。
彼らはその後、第二次世界大戦中はアメリカで過ごしていました。
トラップ大佐の違い
劇中で厳しい人格として描かれていたトラップ大佐は、現実とは大きくかけ離れていました。
厳格な性格ではなかった
真実の彼は優しく温和な人物だったのです。
映画が公開された際にトラップ大佐のキャラクター設定には、実際のトラップ家からの非難があったそうです。
映画のストーリーを分かりやすくするために、あえて極端に厳しい父親像を作り上げたのでしょう。
また、トラップ大佐は現実では大佐ではなく少佐でした。
彼を悪人とする国もある
戦時中に活躍したトラップ大佐は、オーストリア国内では英雄として称されています。
しかし、敵国イタリアでは民間の船をも沈めてしまう悪人船長として嫌われています。
戦争中に活躍した人物に本当の英雄はいないのです。
実話との共通点
様々に脚色が加えられた映画ですが、当然のことながら現実との共通点もあります。
マリアは元々歌が好き
家族で歌を歌っていたことは事実らしく、映画よりもしっかりと音楽家として活動しています。
実際には父親であるトラップ大佐は歌っていなかったそうです。
しかし家族で歌うことで生計を立てていた時期もありました。
音楽祭後の彼らは「トラップ室内聖歌隊」としてあちこちでコンサートの仕事をこなしています。
やはり戦争の間の生活することも厳しい時代の中で、たくましい家族だったのです。
その中で楽しみも忘れずに生きたことは実話でも映画でも変わりないことではないでしょうか。
マリアの結婚は早かった
マリアは現実でも22歳という若さで結婚をしています。
かなりの年の差婚になりますが、このマリアの若さと明るさこそが家族を救ったのでしょう。
更に彼女はゲオルクが死亡したのちに「トラップ・ファミリー合唱団物語」や「ある家庭の聖書研究」などの本を出版しています。
時代背景を知る
サラエボでオーストリア大公が暗殺されたことをきっかけに勃発したのが第一次世界大戦です。
本作は、第一次世界大戦終結後の時期を描いています。
舞台は第一共和国
オーストリアはヨーロッパの名門ハプスブルグ家が治める帝国でした。