「猫の恩返し」は「耳をすませば」の月島雫が描いた物語という設定以外にもさまざまな裏設定や都市伝説が存在します。
外注スタッフ中心で制作されたジブリ作品
「猫の恩返し」の原作「バロン 猫の男爵」が完成しましたが、原作は短編アニメにはできないほどのボリュームがあったそうです。
またその時期は後にスタジオジブリの大ヒット作品となる「千と千尋の神隠し」の制作にほとんどのスタッフがかかわっていたため人手不足の状態でした。
そのためボリュームのある原作を長編アニメ映画として制作する余裕がスタジオジブリにはありませんでした。
ディズニーに映画制作を回すという話も出ましたが、宮崎駿監督はジブリ作品として映画化することを決定します。
そこでそれまでジブリ作品の制作にもアニメーターとして参加していた森田宏幸監督が「猫の恩返し」の指揮者として選ばれました。
そして「猫の恩返し」の作業は多くの外注によって制作されることになりました。
タイトルの候補がいくつかあった
当初「猫の恩返し」というタイトルが「鶴の恩返し」のようだとスタッフの間で不評だったという噂があります。
そこでストーリーに見合ったタイトルを決めようということで、以下のようなタイトルが候補として挙がったといわれています。
- ネコと少女の道しるべ
- 猫の生きる道
- あなたに尽くしたい
- 生きる者への挑戦状
しかしこれらのタイトルはジブリ作品のイメージからかけ離れているということから「猫の恩返し」に決定したという「都市伝説」が残っています。
「バロン」が若くなった
「耳をすませば」で登場するバロンはドイツから持ち帰られてアトリエ「地球屋」に置かれている猫男爵の人形です。
しかし「猫の恩返し」では映画で重要な役割を担う「猫の事務所」の所長となって登場しています。
森田監督は「耳をすませば」の紳士的な渋いバロンではなく「猫の恩返し」では若々しい活発なイメージのバロンを生み出したかったようです。
「耳をすませば」ではバロンの声を露口茂が演じていましたが、「猫の恩返し」ではバロンの声を若くするために袴田吉彦を起用しています。
また「猫の恩返し」は制作に携わったスタッフたちも若い人たちが多かったそうです。そのため映画も全体的に若々しく元気な印象でまとめた仕上がりとなっています。
映画「猿の惑星」に影響された?
「猫の恩返し」を制作するにあたり、森田監督が映画「猿の惑星」からもインスピレーションを受けたのではないかといわれています。