キティがチャールズの本心を確信したのは讃美歌を聞いていた時ではないでしょうか。
彼女は過去にチャールズがその讃美歌を聴いたことがあると、敏感に感じとったのでしょう。
それはつまり、結婚式を意味しています。
深読みするとキティはチャールズが、空白の3年間に誰かと結婚し今でもその人を愛していると気が付いたのかもしれません。
女の勘はなかなか鋭いものです。
敏感だったから不幸?
鈍感ならよかった
引用:心の旅路/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
キティのセリフは「華麗なるギャッツビー」で、女の子はお馬鹿な方が良いといったデイジーのセリフを彷彿とさせます。
もしもキティが鈍感でなにも感じ取れない女性だったら、二人は結婚していたでしょう。
しかし、それが本当の幸せに繋がるとは思えません。
キティが敏感な女性だったことは、彼女の幸せにもつながることではないでしょうか。
家に戻るということが重要だった
なぜチャールズはラストに二人の家に戻ったのでしょう。
実は彼のとった行動にも、深い意味が込められているのです。
戦争という背景
制作されたのは第二次世界大戦中ですが、舞台は第一次世界大戦です。
戦争という背景がこの映画の元となっています。
チャールズがいった西部戦線では、戦線が膠着し凄惨な塹壕戦が繰り広げられたのです。
チャールズが最初に記憶喪失になったのは、砲弾による激しい衝撃が原因と考察出来ます。
小説の最後と違う
本作の原作となった小説では、小さな湖で記憶を取り戻したチャールズとポーラが駆け寄って幕を閉じます。
しかし映画では、チャールズは家に戻るという結末に変わっていました。
これは時代背景である戦争が影響しています。
激しい戦争に駆り出されていた男性によって、何よりも家に帰るということが希望の光だったのです。
チャールズが幸せだった家に帰ることで、彼らがいかに幸せかを描くことが出来たのです。
色褪せないラブストーリー
『心の旅路』はチャールズとポーラがたどった心の在り様を、巧みに描いた作品です。
記憶喪失というテーマは現代でも多く扱われていますが『心の旅路』はその原点ともいえる作品でしょう。
時代を感じさせず、観客を引き込んでいく名作は類を見ないものです。
映画の原点に立ち戻りたい時に、じっくりと味わいたい映画ではないでしょうか。