他人と関わりを持たないようにしていた香織にとって、交換日記は人との繋がりを示す大切なアイテムです。
記憶を無くしてもまた思い出せる、彼女の記憶そのものだったといえます。
覚えているという当たり前のことが、香織にとってとても幸せを感じることだったでしょう。
いつの時代もきっかけを作ってくれるのは、友達だね
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/解離性障害
香織の母親のセリフが物語るように、香織が自分の病気と向き合えるきっかけをつくったのも交換日記だったのです。
焼かれた交換日記
長谷の想いを断ち切るために焼かれた交換日記は、二人の繋がりを切る行為です。
日記が無くなったことで、彼女の記憶は家族と九条のみなのです。
幸せだった記憶を捨てたのは、長谷の思いやりのひとつだったのかもしれません。
九条の元へ香織を送り出すために必要な行為だったのでしょう。
彼の詰め込んだ想いが消えていくさまは、とても切ないシーンとなりました。
香織のラストのセリフが意味するもの
ラストシーンで香織は初めて長谷への想いを口にしています。
私と友達になって下さい
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/解離性障害
友達を傷つけることを恐れていた香織にとって、このセリフは大きな意味を持っています。
ありのままの自分を受け止めてくれる存在として、長谷を信じたことになるのです。
記憶を取り戻したことで、香織は後悔と共に自分がやるべきことが見えたのでしょう。
このセリフはこれまで前に進めなかった香織が、大きく一歩を踏み出したことを意味しています。
そして、長谷の気持ちがやっと彼女に届いたシーンでもあるのです。
「友達」という言葉の重みが、観る者の心に響いてくるのではないでしょうか。
ちなみに、原作の漫画では長谷がこのセリフを口にしています。
二つの結末を観比べてみてもいいでしょう。
愛することの意味を知る作品
本作は、人の記憶がどれほど大切なものなのかが描かれています。
同時に記憶を失っても「愛」はあれば、立ち直ることが出来ることも描かれていました。
『一週間フレンズ』は、人を想う暖かさと強さを教えてくれる作品といえるのではないでしょうか。