それを嬉々として受け入れる夫のヴァルモン。
ここだけ見てもこの2人の関係性がかなり異常である事は疑う余地もありません。
少しずつ狂い始める2人の歯車
大晦日の夜に初めて出会うジュリエットとマリアンヌ
セシル母娘の誘いで参加した年越しパーティーでジュリエットとマリアンヌは初めて顔を合わせます。
ジュリエットの前でも遠慮なくマリアンヌを口説きにかかるプレイボーイのヴァルモンを見て、ジュリエットは何かを感じ取りました。
そしてこのように話すのです。
ヴァルモン:「11年目の正月だ」
ジュリエット::「学生結婚した人たちはほとんど離婚しているわ」
ヴァルモン:「僕らは別だ」
引用:危険な関係/配給会社:セテラ・インターナショナル
抱き合った2人が交わすこの会話は、彼らの特殊な関係を表しているようです。
もちろん周囲を巻き込んで堕落させ、その姿を見て楽しむこの2人の行動は正しいとは言い難いでしょう。
しかし彼らはその特殊な関係性によって、強い絆を育んできたことがよくわかるセリフです。
逆にいえば、他人を不幸にする事でしか2人の関係は維持できないという事の表れなのかもしれません。
そしてこのタイミングで行うこの会話は、ジュリエットがヴァルモンに対して釘をさしているかのようにも感じます。
マリアンヌへの想いを見抜くジュリエット
ヴァルモンはホテルに帰ったマリアンヌの部屋を訪れます。しかしマリアンヌは彼に部屋から出ていく様に強く言い放つのです。
ジュリエットのいる部屋に戻ったヴァルモンは、何もできなかった事をジュリエットに伝えます。
マリアンヌを大切に扱おうとする。そんなヴァルモンにジュリエットは言い放つのです。
「惚れたくせに。熱の上げ方が他の男と同じ。事故みたいなものね、いつものあなたに戻って」
引用:危険な関係/配給会社:セテラ・インターナショナル
嫉妬の心が燃え上がるも冷静なジュリエット
ヴァルモンが本気でマリアンヌを愛し始めている事に気づいたジュリエット。
心中穏やかではない彼女ですが、冷静にこれまで築いてきた2人の絆を信じるのです。
これしきの事で崩れる関係ではない、とヴァルモンにそして自分自身にも言い聞かせて新たな条件を突きつけます。
「彼女を手際よくモノにして、あとくされなく別れてみせて頂戴。私がニューヨークから戻るまでに」
引用:危険な関係/配給会社:セテラ・インターナショナル
ヴァルモンも面白いとこの話に乗り、ここまできてもまだ自身の愛が本物である事を、ジュリエットの前では認めようとしません。
しかしこれまでと同じように情事について語る2人の間に、もう以前の様な笑顔はありませんでした。
マリアンヌの陥落とジュリエットの涙
ヴァルモンの想いについに陥落するマリアンヌ
ヴァルモンから逃げるマリアンヌを執拗に追い、遂には愛に応えてもらえないのなら全てを捨ててパリを去ると泣き落としにかかるヴァルモン。
「私の命で幸福になるのなら差し上げます」
引用:危険な関係/配給会社:セテラ・インターナショナル
そうヴァルモンに伝えてマリアンヌはついに陥落し、そのまま身を任せ、2人はノルマンディに旅に出ます。
ここまでのやり取りもヴァルモンはジュリエットに手紙で伝えていました。
その文面は冷静にマリアンヌを追い込んでいる様に書かれていますが、実際のヴァルモンはとても情熱的に愛の言葉をぶつけるのでした。
そしてこの手紙を、ジュリエットはニューヨークから帰ったパリの自宅で読むことになります。
しかしそこにはヴァルモンの姿がありません。
ニューヨークから戻るまでにあとくされなく別れる、という約束はこの時点では守られていなかったのです。
セシルの妊娠とジュリエットの涙
そんなジュリエットの元にセシルが訪れて、妊娠した事を告げます。もちろん父親は夫であるヴァルモンです。
急いでダンスニと結婚がしたいから橋渡しをして欲しいとセシルに頼まれるジュリエットですが、逆にダンスニを誘惑して自分のものにしようとします。
ダンスニと話をした帰り道、歩きながら涙を流すジュリエット。
嫉妬と復讐心から生まれたこの行動が、ヴァルモンとの関係に終止符を打ってしまう事を分かっていたのでしょう。
2人が戦争を決意する瞬間
決裂の時
ノルマンディで過ごすヴァルモンの元に、本省から栄転の知らせが届きます。世界中を飛び回る花形の仕事です。
ジュリエットがニューヨークで動き回った結果、巡ってきた要職でした。