出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/4102221026/?tag=cinema-notes-22
第62回アカデミー賞で脚本賞を受賞した【いまを生きる】。
死せる詩人の会を再結成し、そのメンバーのひとりであるニールが自殺してしまいます。
先生・キーティングから教わったことが何だったのか、ニールにはその思いは届くことがなかったのかを徹底解説します。
厳しい進学校に現れた変わり者キーティング
通常とは異なるキーティングの授業
アメリカの中でもトップの進学校であるウェルトン・アカデミーにとある国語教師がやってきました。
- 伝統
- 名誉
- 規律
- 美徳
この4つを校則とし、生徒達は厳しい全寮制男子校で息苦しい日々を送っていました。
新しく赴任してきたキーティングの独特な授業は、最初は生徒を当惑させます。
教科書を破かせたり、机の上に立たせたり、歩かせたりとキーティングの授業は奇妙なものばかりでした。
彼の言動に賛成するものもいれば、まじめに勉強したい者もいたのです。
キーティング自身もこの学校の卒業生で、厳しい規律を守っていたひとりでした。
同じように日々を送っていたからこそ分かることがあり、伝えたいことがあっての行為だったのです。
戸惑いつつも自分の心に正直になる生徒たち
授業のはじめから、変わった言動をしていたキーティングを見て生徒たちは当初困惑していました。
変人が赴任してきたとさえ感じましたが、常識を脱ぎ捨てた彼の姿は勉強ばかりしてきた高校生にとっては刺激的でもありました。
キーティングがおかしなことをし始めても、誰かひとりが先陣を切って言われたことを実行すれば一人、また一人と後に続いていたのです。
そのうちに生徒たちは、国語の授業を楽しめるようになり、どんどんとキーティングの言葉が響くようになってきました。
バラのつぼみは早く摘め。
引用:いまを生きる/配給会社:TS/WB
キーティングの言葉は、一見変わった授業を通して、個性を見つけてはその個性を活かすように生きることを伝えるメッセージだったのです。
死せる詩人の会の再結成
夜遊びを覚え本音をぶつけ合うように
キーティングが学生時代に活動していた『死せる詩人の会』は、寮から少し離れた洞窟にて行われていました。
生徒たちはその情報を知ったその日から活動を開始することとなりました。
タバコをふかしながら、ダラダラと洞窟に集まっては、詩を読んだり雑談をして日々を過ごすようになります。
今までは、真面目に寮で就寝時間には寝て、毎日辞書のように分厚い教科書で勉強漬けになっていたのです。
夜になると勉強会と称して少しの時間だけ友人と好きなことをするだけでした。
それが深夜に寮を抜け出し、いけないことをしているという共通の秘密を持ったことで、自分の感情にも正直になっていくのです。
ある者はポルノ写真を持っていたり、ある者はサックスを吹いたり、またある者は共学の公立高校の女の子に恋をしていました。
こうやって共に秘密を持ったことが絆となり、心の内を明かすような関係性を作っていったのです。
厳格な規則に忠実なだけが正しいわけではない
厳格な規則に忠実でいて、良い大学に進学することが学校や大人たちの一番求めることでした。
しかし、キーティングの教育も、その教えを聞いた生徒たちも人生はそれだけのものではないと感じます。
作品全体を通してキーティングが子供たちに教えたことは、邦題でもある『いまを生きる』ということでした。