どうして自分を置いて行ってしまったのか、自分のことは愛していなかったのかを繰り返す日々で、心も弱っていました。
真実を知ることができてから数は、一気に明るくなり、感情を表に出すようになります。
自分は母親にしっかりと愛されていたという事実を知ることができたからこそ、今目の前にいる新谷のことを愛そうと決めたのでしょう。
謎の女が読む『モモ』から考える時間の概念
ずっと読書をしている謎の女こと数の母ですが、終盤では『モモ』を読んでいます。
この物語は、主人公のモモと時間を盗む時間泥棒との話であり、その中には時間を司る老人やちょっと先の未来を見せてくれる人がいます。
モモはどこからともなくやってきて、家もなく、みすぼらしい姿をした少女でした。
子どものモモですが、町の人たちは困ったことがあれば、モモのところへと次々とやってきます。
モモは生きているうえで大切なことが何かを分かっており、話を聞いてもらうだけで人々の心は軽くなっていくのです。
この喫茶店はモモが住処にしていた円形劇場であり、数の存在はモモにたとえられているのかもしれません。
時間をちょっと操ることができる数の所へ行けば、モモに話を聞いてもらったように後悔や不安に立ち向かい、前を見ることができたのです。
タイムスリップするという点から、この映画を制作する際に、あえて母親にはモモを読ませることにしたのでしょう。
コーヒーが導く過去は未来に何を連れてくる?
一度起きたことは変わらない
このことはルールなので、過去に戻り死んだ人を生き返らせたりすることはできません。
起きてしまったことは現在も変わらない事実なのです。
何人もの人が、過去に行っては過去から現在の間までの期間の出来事を変えようと試みました。
しかし、結局コーヒーを飲みほして帰ってくると、現在の事実は何も変わってはいないのです。
人が死んでしまうことも、病気が悪化してしまうことも変えることは出来ません。
出来ることは、現在の事実を受け入れ過去に行き、過去の事実を受け入れて戻ってくることだけなのです。
現在の事実を変えることは出来なくとも、タイプスリップした人の心の中を変えることは出来ます。
過去に戻ったことで変えられる心境の変化
過去に戻ることで、当時相手が言おうとしていたことや、自分が言えなかったこと、心の中で思っていたことを知ることができます。
過去を変えることは出来ませんが、現在から未来を変えていくことができるのです。
過去に行った人たちは、過去にとらわれることがなくなり、たとえ泣いていようが、心のつかえが取れて現在へと戻ってきていました。
本当に大切にすべきことは何なのかを改めて確認し、これから自分ができること・すべきことへと歩んでいくことができるようになるのです。