女性として辛い思いをしながら生きてきたリズベットは女性の猟奇殺人の事件を追います。
真相を追い、女性を苦しめてきた犯人を見つけ出すことがリズベット自身を救うことにも繋がったのかもしれません。
リズベットがミカエルに抱いた感情とは?
1人の少女の恋の物語
ただのサスペンス映画としてではなく、1人の不幸な少女の恋の物語の要素も含まれている点でも評価されています。
リズベットの恋が叶うことはありませんでしたが、不器用ながらの彼女の言動はとても愛おしくもあったのです。
元々ミカエルのことを調べ上げており、人物像を知っていたものの実際に接していくミカエルの人間性に魅了されていきました。
マルティンを殺しても良いか?と確認するシーンも、今までのリズベットなら確認することさえしなかったでしょう。
命を懸けてミカエルを救ったのは、リズベットの愛情からきたものに違いありません。
関わっていた事件の真相を知り、ミカエルと共に過ごすことがなくなれば、ミカエルの仕返しをするために行動しました。
ミカエルはリズベットのおかげだということさえ知らないままですが、健気なリズベットの恩返しが美しいのです。
中盤あたりでミカエルのパソコンから勝手に印刷したミカエルの写真と似た革ジャンをクリスマスの日に用意していたりもします。
ミカエルと出会い、恋をしたことでリズベットは人間らしくなることができたのです。
初めて掴んだ信頼と結ばれることのない想い
共に仕事をしていくうちに、お互いの得意な分野が見えてきます。
そして、それぞれが自分のできることを知っており、上手に役割分担をしながら着実に真相へと近づいていくのです。
お互いが信頼しあい、それぞれの得意分野を任せることができたからこそハリエットを見つけることができ、犯人が分かったのでしょう。
ミカエルは良くも悪くも人たらしな性格も持ち合わせていたので、彼にとってのリズベットはパートナーでしかなかったのです。
関係も持ってはいましたが、最高のパートナーであり娘のように思っていたのかもしれません。
リズベットには信用できる大人はミカエルだけでしたが、ミカエルの周りには多くの仲間がいたのです。
オープニングに隠された伏線
オープニングの場面は繰り返し観るとより一層、その想いを知ることができます。
オープニングの制作に当たって、制作者のティム・ミラーはフィンチャー監督からリズベットが見る悪夢の具体的なイメージを求められました。
50個のアイデアを求められ、最終的に25個までまとめられたものを実現するために8週間もの期間を与えられたのだそうです。
そこで完成したのがあのオープニングであり、男性優越主義の中で暴力的な女性蔑視が行われています。
まさに毎夜リズベットが見ていて、うなされている悪夢が完成したのです。
リズベットが抱えるトラウマから始まるストーリーは、リズベットを成長させるものへと展開していくのでした。