確かに捜査が進捗せず、家族に辛く当たられ、板挟みで苦悩しているタイミングで、娘が猟奇殺人犯に誘拐されるのは最悪の最高峰です。
ストレスフルな状況には、同情の余地ありですが…。
「希望してこの事件の担当になった」相棒のケルシーが証拠を片っ端から隠滅していた、というのも充分ありそうです。
彼女が意識的に捜査状況に穴を開けていた可能性があります。
直接的に解決のきっかけになった場面でも、疑問符が山積です。
マイクは容疑者が瓶で殴られたという話を訪問前に聞いていました。まさかの大チョンボ!
そこで「頭を怪我した職員」が目の前に居て、しかも話しかけられるまで気がつかないというのは、間抜け過ぎでした。
捜査のためなら手段を選ばない破天荒さ、マイク自身の魅力や刑事としての有能さを示す場面も圧倒的に不足していました。
そして最後には犯人と相撃ちで殉職、というのはあまりにも救いがなさすぎる結末でした。
実際の事件はどうだったのか?
あまりに凄惨すぎた事件
本作は実際の事件が元になっています。1986年に起きた「ゲイリー・ハイドニック事件」です。
ただ、これが映画のストーリーより、かなり凄惨な酷い顛末を迎えてしまいました。
その為、監督やスタッフも描写として厳しい部分は大胆に脚色を加えて今回の映画化に挑んだようです。
犯人カールの異常な家族願望
カールが「異常な家族願望」を持ったのは、幼い頃から大まかに2つ原因があったようです。
1.不幸な家庭環境と病院通い
幼い頃から両親が不仲で、2歳の時に離婚してしまいました。原因は、母親が黒人男性相手に浮気をしてしまったからです。
父親もカールの面倒をろくに見ず、出て行った母親と浮気相手の人種差別的な非難を年中カールにぶつけていたようです。
その影響で、カールは幼い頃から酷いストレスに見舞われ、精神病院通いを続けていました。
2.社会性とコミュニケーション不足
彼は学校に上がると好成績を上げてようやく認められ、兵役に行った軍隊でも頭角を現し、将来を嘱望されるまでになります。
しかし体調不良を理由に、兵役に着かず軍を抜けてしまいます。
精神的な病気が理由で退役になったため、彼は働かずして、軍隊の年金が支給されることになり、生活には困らなくなりました。
彼は働かないことで、大人同士の友情や、情のコミュニケーションを図るチャンスを奪われることになったのです。
86年、カールは遂にフィラディルフィアのスラム街で、知り合った売春婦を次々に自宅の地下室に連れ込み始めてしまうのです。
「大家族を作りたい。」という意味不明な欲望を自身の部屋(the Factory)で本当に実行に移し始めてしまいます。
…本当に怖すぎる話です。