埼玉をディスり続ける衝撃の内容ですが、この映画のキャスティングには武内監督の遊び心が至る所に詰め込まれています。
そのひとつにキャストの出身地が挙げられます。
キャストには埼玉の出身者が数多く起用され、彼らはそのまま埼玉県人として出演しています。
埼玉出身者が演じる埼玉県人に意味がある
劇中で埼玉県人役を演じている埼玉出身の役者は下記のようになっています。
- 現代パートの娘(菅原愛海役)の島崎遥香さん
- 現代パートの父親(菅原好海役)のブラザートムさん
- 現代パートで五十嵐春翔を演じる成田凌さん
- おかよを演じる益若つばささん
埼玉出身者を起用することで、よりリアルに世界観を楽しめるのではないでしょうか。
埼玉県人という役ではなく、実際の埼玉県人がいうセリフだからこそリアルで面白いのです。
千葉県出身の麻生久美子との言い争い
劇中での出番は少ないですが、ブラザー・トムの妻役(劇中で千葉県人の設定)は実際に千葉県出身の麻生久美子です。
チバラキという呼び名に怒りを爆発させる彼女もまた、千葉県出身だからこそ、セリフにリアリティがプラスされています。
夫である菅原好海と千葉VS埼玉の言い争いする場面にも、さりげなく「埼玉ディスり」がはいり現実パートならではの面白さを感じることが出来ます。
神奈川出身の竹中直人が神奈川県知事
出典元:http://www.tondesaitama.com/index-2.html
個性派俳優の代表格である竹中直人さんは、神奈川県知事を熱演しています。そして彼もまた実際の神奈川県出身者なのです。
武内監督のキャスティングはまるでパズルのように、役者と役を結び付けています。
埼玉VS千葉の戦いのシーンにYOSHIKIと高見沢の旗が!
武内監督の遊び心を垣間見れるシーンのもうひとつが、埼玉解放戦線と千葉解放戦線がにらみ合う場面です。
千葉県サイドにはXJAPANのYOSHIKIの旗が掲げられ、埼玉県サイドにはTHE ALFEEの高見沢俊彦さんの旗が掲げられています。
それぞれの出身地が千葉と埼玉なのです。
ここにも濃いキャスティングが活きており、二人は突然の登場にも関わらず違和感を感じさせない不思議な存在感を放っています。
「翔んで埼玉」は細部まで楽しめるキャスティングとなっているのです。
現実パートがあるから引き込まれる
「翔んで埼玉」はハチャメチャな背景設定ですが、観ていて観客が離れていかないのは現代パートが存在するからです。
とにかくハチャメチャなストーリー
メインストーリーは時代背景も世界観もごちゃまぜです。
江戸時代のように埼玉から東京に行くのに通行手形が必要だったり(埼玉がそれほど遅れている)、白亜紀後期のプテラノドンが空を飛ぶシーンもあります。
確かに面白い設定ですが、それだけだとあまりにもかけ離れた世界観に観るものは距離を感じてしまうかも知れません。
菅原愛海役の島崎遥香の突っ込みが映画を引き締める
ハチャメチャなストーリーを引締め、観るものを映画に引き込んでいくのが現代パートのシーンです。
東京で結婚生活をすることを願う菅原愛海が、両親と共に車に乗って東京へ向かっています。
その時聞くラジオの「埼玉の都市伝説」こそが劇中のありえない世界です。