これまでブロックの為に生きてきたジェシーでしたがトッドから解放され、自分の為だけに生きています。
自分のことは自分で決めるしかない
引用:エルカミーノ/配給会社:Netflix
冒頭の回想シーンでマイクのいったセリフが、ジェシーの行動の源となっています。
人の為に生きてきた人生を卒業し、自分の為に生きる人生へ踏み出していきました。
ジェシーは共に過ごしたウォルターからも卒業していったのです。
最後の手紙はブロック宛て
ラストにエド・ガルブレイスに渡された手紙は、一体何が書かれていたのでしょう。
ブロックは家族的な存在
この手紙はブロックに宛てられたものです。
自分の為に母親を殺されたブロックを必死にジェシーは守り続けてきました。
彼はブロックの為に生きてきたといっても過言ではありません。
ジェシーにとってブロックは息子のような存在だったのかもしれません。
別人になる前に、ジェシーとして最後の手紙を残したのでしょう。
観る者に委ねられた手紙の内容
手紙の内容が劇中で語られることはありませんでした。
ファンとしては内容が気になって仕方ありませんが、観る者に委ねるという決断が下されたようです。
もしかしたら、奪ったお金をブロック宛てに振り込んだという内容かもしれません。
または全の真実を伝えたのかもしれません。
想像は膨らみますが、ファンひとりひとりの解釈によって物語が完成していく構成なのが憎い演出です。
エルカミーノは「道」
タイトルにもなっているエルカミーノは、実にいいネーミングです。
エルカミーノはダブルミーニング
逃亡の際にジェシーが乗っている車はシボレーエルカミーノです。
エルカミーノの舞台は2008年以降なので1987年に生産が終了しているエルカミーノは憧れのレアものになります。
またスペイン語のエルカミーノには道という意味もあります。
ジェシーが自分で切り開いていった道をかけて、絶妙のダブルミーニングとなっています。
人消し屋が1800ドルにこだわったのも「道」
劇中、エド・ガルブレイスは1800ドル足りないだけで仕事を断っています。
少しくらいまけて欲しい……、観る者はジェシーと同じ気持ちになったのではないでしょうか。
しかし、裏の仕事をするエドだからこそルールを守ることの厳しさを貫いたのではないでしょうか。
エドは裏家業をしていますが決して悪人ではありません。
深読みすると、自分で1800ドル用意できる力がないと、この先ジェシーが生きていけないと思ったのかもしれません。
1800ドルが欲しかったわけではなく、ジェシーに確かな道を示したかったのではないでしょうか。
エドは社会の厳しさを教えたのです。
独り立ちする男の物語
本作は麻薬や殺人といった闇の世界を描いています。
しかしそんな底辺の世界においても、友人や家族、そして人生の先輩たちがジェシーをアラスカへと導いていきます。
罪を正すことは出来ない、けれど誤った人生を消してあきらめてはいけない。
深いメッセージのこもった作品となりました。