今作ではイーサンは妻ジュリアに再会を果たしますが、そうした困難を極めた彼の人生、それを経ての妻との再会をオデュッセイアは象徴しているのではないでしょうか。
しかし「ミッション:インポッシブル フォールアウト」の中ではジュリアのそばに寄り添う男性の姿がありました。
オデュッセウスのように愛する妻を取り戻せたわけではなかったのです。
イルサの存在
しかし劇中ではイルサの存在がイーサンにとって大きな意味を持つように感じさせる演出がなされていました。
同じ世界で生きる彼女とこれからどのような関係を築いていくのか。今後の続編で明らかにされることでしょう。
プルトニウムとイーサンの人生のダブルミーニング
オデュッセイアが示したものは恐ろしい存在である核爆弾の原料になるプルトニウムそのもの。
多くの人の命を奪い、地球の生態系すら変えてしまう力を持つ核の軍事使用はまさに神の怒りに触れるものでしょう。
加えてエージェントとしての過酷な生き方、そのために愛する妻と離れざるを余儀なくされたイーサンの人生、そしてその果てに妻との再会を果たすこと。
この2つが今回の指令が隠されたオデュッセイアが象徴しているといえるのでは、と思います。
驚きのアクションにまつわるトリビア
「ミッション:インポッシブル」シリーズといえばそのアクションも常に大きな話題になる作品です。
イーサン演じるトム・クルーズがスタントを使わずすべて自分でアクションシーンをこなしているということはよく知られているのではないでしょうか。
毎回驚くべきアクションシーンが披露されますが、この作品でもトムはまた私たちの度肝を向いてくれました。
ヘイロージャンプ
トムの長年の夢だったというヘイロー(HALO、高高度降下低高度開傘)ジャンプ。
高高度10,000m程度から自由落下し、地上間近でパラシュートを開く降下術です。
空軍の潜入方法として開発されましたが、ヘイロージャンプを行う隊員は特別な訓練が必要だとされています。
それでも成功率は低く、かなりの技術を必要とされる降下術であることは間違いなさそうです。
トムはこのヘイロージャンプに嬉々としてチャレンジ。
約8,000m程度の高度から死亡の可能性もある低酸素症の危険をものともせず演技しながら落下していく姿がスクリーンには映し出されていましたね。落下速度はなんと約320㎞/h。
この撮影のためにはトムの顔が見えるよう、特製のヘルメットが開発されたということです。
ヘリコプターでのアクロバット飛行
この作品のためにトムはなんとヘリコプターのライセンスを取得。
そのうえ熟練のパイロットでも恐れをなすという螺旋降下(スパイラル)飛行を成功させています。
少しのミスが命取りになる可能性もあったこの危険な撮影にはさすがに監督も不安の色を隠せなかったよう。
まさに不可能を可能にするエージェント、イーサンを地で行くトム。
超高難度の飛行技術を披露しながら演技、撮影までこなすスーパーマンぶりには脱帽です。
だからこそのリアリティのある大迫力のこのシーンはこの映画の中でも1、2を争うハイライトシーンといえるでしょう。