出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N0XS99G/?tag=cinema-notes-22
映画『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』は天才ギタリストの半生を描いたスペイン伝記映画です。
ジョン・マクラフリン、チック・コリア、カルロス・サンタナ、アル・ディ・メオラらが脇を固めています。
監督のクーロ・サンチェスはパコ・デ・ルシアの実の息子であり、独自の視点で父の人生が描かれているのです。
フラメンコからギター1本で世界へ駆け上がった彼の人生は66歳での急逝が惜しまれる程でした。
映画としてのみならずミュージックビデオとしての完成度も高く、以下の功績を残しています。
In 2015 it received a Goya Award for Best Documentary, and it was nominated for Platino Awards for Best Documentary. It got a Gold Record.
引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Paco_de_Lucia:_La_busqueda
本稿ではパコの死因を物語を追いながらじっくり考察していきましょう。
また、パコがカマロンの歌に受けた衝撃や音楽の探究心が尽きない理由も併せて読み解きます。
フラメンコギターの革命児
本作を考察していく上でまず欠かせないのはフラメンコギターの革命児パコ・デ・ルシアの人となりです。
7歳の頃から父の教えでギターを始め、12歳で歌手の兄と共にデビューするなど異例の経歴でした。
更にはニーニョ・リカルドに師事してからは自身のスタイルを追求し、瞬く間に時の人となったのです。
もう絵に描いたような音楽人生を歩んでおり、正にフラメンコギターの革命児にして獣道を往く人でした。
そんな数々の偉業の裏にあるパコの人間性に関しては意外と表に知られていないのではないでしょうか。
2014年に急逝した彼の人となりが息子の視点で再構築された本作は果たして何を伝えるのかを見ていきます。
パコの死因
数々の伝説を打ち立てたパコですが、2014年2月25日突然天に召されてしまいました。
果たして彼の死因は何だったのかを考察していきましょう。
心臓発作
世間的に大々的に報道されているパコの死因は急性の心臓発作でした。
どんなに音楽の天才であったとしても病気に打ち勝つことは出来なかったのです。
この時彼はメキシコに居て、既に一線から退いて家族とともに余生を過ごされたのだとか。
正に流れ星の如く凄まじい輝きを持ちながら、その落ち方も急激なものでした。
66歳というぞろ目の数字で生を終えたことにも何かしらの運命が感じられます。
孤独な生き方
パコの人生は常にどこか孤独で悲壮感に満ち溢れたものだったといえます。
フラメンコギターにおいてもジャズにおいても、全てにおいて自身のスタイルを貫きました。
演奏機材も自分で調整し、自身で感じ取ったことも全て内々で処理してしまう人です。
正に「芸術家とはこうだ」という生き様をそのまま体現した人ではないでしょうか。
ずっと孤独と戦い続ける運命を自ら選び取った人だったのです。
パコは死すとも音楽は死せず
本作の何より凄い所はそんなパコの生き様を余さず映像として残してくれている所です。
正に「パコは死すとも音楽は死せず」というべきか、彼が残したものはフィルムにしっかり残りました。
音楽家としては孤高の天才でありながら、父としてはとても温かく優しい人だったと監督は述懐しています。
画面全体に満ち溢れたどこか温かい雰囲気は息子が父から受けた愛情の恩返しかも知れません。