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【トップガン】矛盾だらけの海軍映画がヒットした理由を徹底解説!脚本家のリライトから誕生した珍シーンとは?監督の暴走も紹介!

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00C8RXT9C/cinema-notes-22

「ミッション・インポッシブル」シリーズと共にトム・クルーズの代名詞となった1986年の映画「トップ・ガン」。

トムの出世作でもあります。公開されるや大ヒットした本作、青春の思い出として心に残っている方も多いのではないでしょうか。

また数々の名曲にも彩られ、サウンドトラックを楽しむ映画としても味わいがあります。

海軍航空部隊での男の友情をメインに、ファッショナブルな恋愛映画、スタイリッシュな青春映画の傑作として多数のファンを獲得しました。

しかし、その一方で戦闘機の訓練シーンでの矛盾映像や製作サイドなどからの口出しが絡んだことによる珍シーンが多い映画でもあります。

そんな映画がなぜ世界中で大ヒットしたのでしょうか。

名匠トニー・スコットは様々な制限やトラブルを抱えながら、どうしてこんなにカッコいい映画が作れたのでしょうか。

そんなに迫りながら「トップ・ガン」を考察していきましょう。

製作側から生まれた数々の矛盾やトラブル

売れっ子コンビの背後には

Jerry Bruckheimer オンデマンド (ペーパーバック) – 2012/4/14

本作のプロデューサーはドン・シンプソンジェリー・ブラッカイマー。当時パラマウント映画所属でした。

この二人は「トップ・ガン」以前に「フラッシュ・ダンス」「ビバリーヒルズ・コップ」で大成功を収めています。

また二人は「トップ・ガン」の大ヒットの後、トニー・スコットと「デイズ・オブ・サンダー」「クリムゾン・タイド」を製作。

そうした流れで見れば、売れ線映画を作らせたら当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったドンとジェリーの現場にトラブルなど起きようがないはずだったのです。

製作・配給会社の圧力

ブロマイド写真★トム・クルーズ&ケリー・マクギリス/『トップガン』/戦闘機を背に立つマーベリックとチャーリー/【ノーブランド品】

ところが、プロデューサーには製作・配給会社の思惑が大きくのしかかって来るのが映画作りの常道です。

次々と大ヒット映画を作り金儲けしたい製作・配給サイドと現場を任されているプロデューサー、監督の間で揉めごとが起きます。

例えばトムたちが上半身裸でビーチバレーをするシーンや、パイロットのロッカールームでの裸のシーンが多いと思われませんか?

あれは女子受けを狙った製作・配給会社の要求だったといわれています。結果オーライだったわけですが。

トニー・スコット監督としては、ビーチバレーのシーンは好きではなかったようです。

軍事アドバイザーと脚本家の意見相違

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本作のような軍事の絡む映画には必ずその方面に詳しい軍事アドバイザーが付きます。

この映画はアメリカ海軍の全面協力ですから、本物のFー14パイロットや軍事用語コンサルタントなどがサポートするのです。

特に教官のチャーリーの授業やピート(トム)との空戦についての議論などにはこうした人の指導がなければ成り立たたないもの。

それなのに映画をよく観ると、あれ?と指摘したくなるカットが出て来ます。

これは海軍として軍事的に許せないところは手直しを指示したものの、そうでもないところは演出側に任せた、と推察するのが妥当でしょう。

協力もするけど口も出した海軍

ブロマイド写真★トム・クルーズ/『トップガン』/ヘルメットかぶってコックピットに座る/【ノーブランド品】

本作ではアメリカ海軍が全面支援。空母「レンジャー」(作品中では「エンタープライズ」として登場)の使用を許可。

F-14トムキャット戦闘機やMiGに想定したF5戦闘機と操縦パイロットの提供、実際のミサイルの発射シーンなどに協力しています。

加えて基地ロケの提供など全面的な協力を惜しみませんでした。

この映画のヒットで海軍志願者が激増したことに空軍がやっかみをいうほどの力の入れようでした。

一方で脚本に目を通し、上記のように海軍として見逃せないシーンについては口も出したとされているのです。

こんなシーンがありました

監督とプロデューサーの豪腕が生んだ珍シーン

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軍事アドバイザーや海軍からの指摘も無視した監督の「暴走」ともいえるようなシーンも相次ぎました。

思い込んだら譲らないトニー・スコット監督と支えたドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーの強引な手法が通ってしまったのです。

例えを挙げれば、格納庫で行われるチャーリーの講義シーン。実際はちゃんとした教室で行われます。

チャーリーの講義シーンでも製作側はもっと色気を出したかったのですが、これは海軍から強いダメ出しをくらってしまったとか。

監督は海軍や製作・配給側からの口出しに対し、相当突っぱねたようです。しかし、こんな事が起きました。

ラッシュフィルムのスクリーニングでラブシーンが少ない、という指摘を受けた結果台本が書き換えられます

まずエレベーターの中でのイチャイチャシーンが挿入され、更にチャーリーとピートのベッドシーンが急遽追加設定されたのです。

監督の思いつきでその場で台本が急遽書き直されることもあったそうですが、まあ、これは多くの映画である出来事です。

軍事専門的に指摘された「ミス」

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敵機とキャノピーの位置を同じにして背面飛行を敵機と数十センチの距離で行い、ポラロイドを撮るシーン。

ジェット後流に巻き込まれたグースが射出されたキャノピーに頭をぶつけて死亡するシーン。

引用:トップ・ガン/配給会社:UIP

こうした事はありえないという指摘があります。

インド洋の戦闘にて北朝鮮か中国を思わせる敵機と戦うのですが、当時のMiGはそこまで飛んで来れないという指摘もあったりします。

仮想敵国には空母が無かった時期だからなのです。

同一機なのにカットによって機体番号が違う、ロックオン時の音が実際と異なる、操縦桿の引き方がおかしいなどなど。

空中戦シーンでの間違いの指摘が多いようです。

アメリカの映画批評サイト“IMDb”の「トップ・ガン」の「間違い指摘(Goofs)」のページには、162もの投稿があります。

引用:https://www.imdb.com/title/tt0092099/goofs/?tab=gf&ref_ref_=tt_trv_gf

しかしこれらは軍事愛好家でもなければ本編にはあまり関係ないことでしょう。ちなみにMiG28という戦闘機は架空のものです。

大ヒットの要因は

トニーもジェリーもCM出身者

Tony Scott: A Filmmaker on Fire (English Edition) Kindle版

本作の映像的な成功は、極めてCM的な制作法を取ったことによるものが大きいのです。

それは冒頭の最初の出撃シーンに表れます。

トニー・スコット監督の特徴なのですが、カットの長短の使い方がCM出身者だけあって極めて巧み。

まず冒頭の監督の大好きなオレンジ色に染まった航空母艦甲板の戦闘機の上では、長いカットも入れ情緒的に描いていきます。

そしていざ戦闘機発艦となると、次第に短いカットを積み重ねてスピード感と緊張感を演出していくのです。

さらに艦上作業員の挿入の仕方やアップとロングの切り替えもCM的でお洒落な画作りとなるわけです。

バックで流れてくる音楽の盛り上げ方もCM的で巧みでプロモーションVTRのようだといわれる所以でしょう。

これはどんなシークエンスでも共通することなのです。

特に空中戦では

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特にドッグファイトと呼ばれる激しい空中戦のシーンでは極めて短いカットを重ね、緊張感を演出します。

CGを使わないジェット戦闘機の空中戦シーンでは、「トップ・ガン」を上回る作品はない、とまでいわれる名演出

もちろん海軍協力による素晴らしい映像(カット)も非常に効果的に使われています。

またトム・クルーズが操縦する海軍のF-14トムキャットは「可変翼」を備えた2座の艦上戦闘機。

愛好家はその姿を「世界一色っぽい戦闘機」といいます。

確かにトムキャットのフライトシーンは「色っぽさ」を感じます。それもこの映画の魅力の一つでしょう。

この映画は空中戦シーンとチャーリーとのラブストーリーや仲間たちとの交流が「静」と「動」を形作っています。

これによりメリハリの効いた仕上がりとなったといえるでしょう。

ヒットの大きな要素、トム・クルーズの起用の背景

ブロマイド写真★トム・クルーズ/『トップガン』/ヘルメット持ちポーズをとる/【ノーブランド品】

トム・クルーズは本作制作時は若干24歳でした。

プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーは「トップ・ガン」の主役はトム・クルーズしかない、と決めていたそうです。

またトム自身もこの役を希望していました。

製作サイドと相思相愛具合は、トムが大好きなバイクシーンが極めて印象的に作られている点にも表れています。

結局トムは本作の大ブレークでハリウッドスターの仲間入りを果たし、重要な配役の階段を登ることになるわけです。

トムの転機ともなった本作ですが、「トップ・ガン」の製作ではF-14に乗っての訓練も課せられました。

しかしあまりの過酷さに、トムは携行していた袋に吐いてしまったと語っています。

そんな過酷さを乗り越えて、トムは大スターの階段を登っていった訳です。

映画の大ヒットと切り離せない名曲とファッション

音楽の魅力

Top Gun Soundtrack

本作で使われた曲を網羅したオリジナル・サウンドトラック盤も大ヒットしました。

友情や恋愛も極めて分かりやすく、空中戦はスリル満点。これらのシーンにピッタリの曲が映画を盛り上げたのです。

#1:デンジャー・ゾーン~TOP GUN THEME/ケニー・ロギンス

#5:愛は吐息のように~TOP GUN LOVE THEME/ベルリン

引用:トップ・ガン オリジナル・サウンドトラック盤/ケニーロギンズ他

特に上記の2曲青春の想い出として記憶に焼き付いている方も多いことでしょう。

またオールデイズの使い方も上手い映画でした。

#11:ドック・オブ・ザ・ベイ/オーティス・レディング

#14:ユーヴ・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリング/ライチャス・ブラザーズ

引用:トップ・ガン オリジナル・サウンドトラック盤/ケニーロギンズ他

これらの世代を超えて愛される名曲をキーになるシーンで使うあたり、音楽使いの上手いブラッカイマーの手腕がうかがえるところです。

ブームとなったファッション

F&H Men's Top Gun Pete Maverick Tom Cruise Flight Bomber Jacket

この映画は若者のファッションにも大きな影響を与えました。

トム・クルーズが着用していたG-1フライトジャケットとレイバンのサングラスが、この映画のヒットと共に注目されることに。

G-1は高価でなかなか手が出なかったということで、G-1より軽くて安価なMAー1ジャケットが大流行したのでした。

「トップ・ガン」を観てこれらを買ったという人も多いことでしょう。

またトムが乗っていたバイク、「KAWASAKI GPZ900R Ninja」にも憧れたバイカーも多かったようです。

映画成功の秘訣全部乗せの映画

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この映画はほじくり出せばいろいろなミスも、強引な演出もありますが、結局そんな事を吹き飛ばす大ヒットを記録しました。

  • 血湧き肉躍るストーリーに恋と友情を絡めた単純で分かりやすいストーリー
  • 大空を自在に飛び回る爽快感
  • 感情を刺激するカッコいい映像
  • 映像にフィットした数々の楽曲
  • カッコいい男優たちファッション

以上のように、これまで述べてきた大ヒットする要素がきっちりと提示されています。

ヒットすべくしてヒットした映画ともいえます。

先述のようにプロデューサーや監督の激しい思い入れも、海軍の口出しも、製作・配給会社の圧力も、結果オーライとなった訳です。

万人受けする映画「トップ・ガン」は、こうして世代を超えて色褪せないファッショナブルな青春・恋愛・アクション映画となったのでした。