愛好家はその姿を「世界一色っぽい戦闘機」といいます。
確かにトムキャットのフライトシーンは「色っぽさ」を感じます。それもこの映画の魅力の一つでしょう。
この映画は空中戦シーンとチャーリーとのラブストーリーや仲間たちとの交流が「静」と「動」を形作っています。
これによりメリハリの効いた仕上がりとなったといえるでしょう。
ヒットの大きな要素、トム・クルーズの起用の背景
トム・クルーズは本作制作時は若干24歳でした。
プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーは「トップ・ガン」の主役はトム・クルーズしかない、と決めていたそうです。
またトム自身もこの役を希望していました。
製作サイドと相思相愛具合は、トムが大好きなバイクシーンが極めて印象的に作られている点にも表れています。
結局トムは本作の大ブレークでハリウッドスターの仲間入りを果たし、重要な配役の階段を登ることになるわけです。
トムの転機ともなった本作ですが、「トップ・ガン」の製作ではF-14に乗っての訓練も課せられました。
しかしあまりの過酷さに、トムは携行していた袋に吐いてしまったと語っています。
そんな過酷さを乗り越えて、トムは大スターの階段を登っていった訳です。
映画の大ヒットと切り離せない名曲とファッション
音楽の魅力
本作で使われた曲を網羅したオリジナル・サウンドトラック盤も大ヒットしました。
友情や恋愛も極めて分かりやすく、空中戦はスリル満点。これらのシーンにピッタリの曲が映画を盛り上げたのです。
#1:デンジャー・ゾーン~TOP GUN THEME/ケニー・ロギンス
#5:愛は吐息のように~TOP GUN LOVE THEME/ベルリン
引用:トップ・ガン オリジナル・サウンドトラック盤/ケニーロギンズ他
特に上記の2曲は青春の想い出として記憶に焼き付いている方も多いことでしょう。
またオールデイズの使い方も上手い映画でした。
#11:ドック・オブ・ザ・ベイ/オーティス・レディング
#14:ユーヴ・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリング/ライチャス・ブラザーズ
引用:トップ・ガン オリジナル・サウンドトラック盤/ケニーロギンズ他
これらの世代を超えて愛される名曲をキーになるシーンで使うあたり、音楽使いの上手いブラッカイマーの手腕がうかがえるところです。
ブームとなったファッション
この映画は若者のファッションにも大きな影響を与えました。
トム・クルーズが着用していたG-1フライトジャケットとレイバンのサングラスが、この映画のヒットと共に注目されることに。
G-1は高価でなかなか手が出なかったということで、G-1より軽くて安価なMAー1ジャケットが大流行したのでした。
「トップ・ガン」を観てこれらを買ったという人も多いことでしょう。
またトムが乗っていたバイク、「KAWASAKI GPZ900R Ninja」にも憧れたバイカーも多かったようです。
映画成功の秘訣全部乗せの映画
この映画はほじくり出せばいろいろなミスも、強引な演出もありますが、結局そんな事を吹き飛ばす大ヒットを記録しました。
- 血湧き肉躍るストーリーに恋と友情を絡めた単純で分かりやすいストーリー
- 大空を自在に飛び回る爽快感
- 感情を刺激するカッコいい映像
- 映像にフィットした数々の楽曲
- カッコいい男優たちとファッション
以上のように、これまで述べてきた大ヒットする要素がきっちりと提示されています。
ヒットすべくしてヒットした映画ともいえます。
先述のようにプロデューサーや監督の激しい思い入れも、海軍の口出しも、製作・配給会社の圧力も、結果オーライとなった訳です。
万人受けする映画「トップ・ガン」は、こうして世代を超えて色褪せないファッショナブルな青春・恋愛・アクション映画となったのでした。