この映画では天使も悪魔もハーフブリードというこの世とあの世のハーフ的な存在になっています。
その意味でガブリエルもハーフブリードです。
しかしすべてに境界がないこの映画の世界観からすれば大天使とも見れるのではないでしょうか。
大天使ガブリエルが人間に試練を与える理由
ガブリエルが人間界に混乱を起こすのは、人間の真価を試すためでした。ガブリエルは罪を犯しても許しが得られる人間に嫉妬しています。
ということは天使にはおそらく神から償いの機会さえ与えられていないのでしょう。
そこでこの大天使は混乱を起こして人間がそんな神の慈悲に値する者かどうか試すのです。
おそらくガブリエルとしては人間の愚かさを証明して、神による人間びいきを止めさせたかったのでしょう。
また天使を演じるティルダ・スウィントンがまさに適役でした。彼女にはユニセックスを超えて、性自体を感じさせない独特の魅力があります。
今風にいうとアセクシュアル(無性的)なスウィントンは生きた天使を演じるのに最適な俳優でした。
映画におけるサタンの位置づけ
この映画ではハーフブリードというこの世とあの世のハーフ的なものが霊的な存在として描かれます。
ハーフブリードの大半はサタン・悪魔です。彼らは人間には直接関われませんが、人の心に悪影響を与える力を持っています。
このサタンの設定はアメリカなどキリスト教文化圏の人には馴染み深い考え方でもあるでしょう。
例えば欧米ではシリアルキラー・連続殺人鬼がつかまるとよく「心の中で悪魔の声が聞こえた」などとその動機について語ります。
それもまたこの『コンスタンティン』のサタンの位置づけに重なります。その意味でサタンのハーフブリードは非常にリアルな設定です。
しかしやはり心に影響を与えるだけではサタンの実在には信ぴょう性がないと思える人もいるでしょう。
シリアルキラーの多くは精神病者であり、彼らの内にいるというサタンは病的な幻想の産物なのです。
そういう観方をすれば映画のサタンたちもジョンたちサイキックだけが見る集団幻想なのではという疑いも生まれるでしょう。
そんなサタンが、1人のエクソシストにこだわりを見せていましたね。
サタンがジョンにこだわった理由とは
映画の最終盤でジョンの前にサタンのボスが登場します。彼もガブリエル同様ハーフブリードですが有名なサタン・ルシファーだと見てもいいでしょう。
なぜそんな地獄の大御所がジョンの前に現れたのでしょう。
悪魔祓い・エクソシストのジョンはそれまで無数の悪のハーフブリードを人間界から地獄へ突き落としていました。
それにはサタンでさえ怒らずにはいられなかったのです。つまり、サタンはジョンを地獄に自らの手で連れて帰るために現れたのです。