出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00FWHAR5E/?tag=cinema-notes-22

1993年公開の『日の名残り』はノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの同名小説を映画化した作品です。

イギリスを舞台に「執事」という職に生涯をささげる男の物語が描かれています。

抑えた静的な佇まいや、そこからわずかにあふれ出る感情の変化を見事に演じたアンソニー・ホプキンスの演技は高く評価されました。

主人に忠実で執事という職務に誰よりも真摯に向き合った男の一生は幸せなものだったのでしょうか。

滅多に感情を表に出さないスティーブンスの生き方や、彼の感情がわずかに動いたのはどのような時だったのか改めて解釈してみます。

感情や私情を決してあらわにしないまさにプロフェッショナルに徹した主人公のスティーブンス。

ラストシーンから感じ取れることは一体何でしょうか。

プロフェッショナルな執事としてのスティーブンス

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

スティーブンスは執事として1950年代まで英国の名門のダーリントン卿のもと、彼の死後はその屋敷を買い取ったルイス卿のもとで働きました。

執事としてのスティーブンスがどれほどプロフェッショナルな振る舞いに徹していたか、それを考察します。

ほとんど動かぬ表情

スティーブンスの最大の特徴として、とにかく感情が表に出ないということがいえます。

嬉しいことや悲しいことが起きても、心からの笑顔や涙といった感情表現は行わず、常に冷静かつ合理的な対応。

それゆえ、ケントンからは心無い対応や言動を非難されたり、時にはからかわれたりもします。

劇中、ダーリントン卿に少々面倒な依頼事をされても嫌な顔一つせず対応するシーンも印象的ですね。

カーディナル(ダーリントン卿が名付け親の青年)がダーリントン卿の悪口を言ったときも冷静沈着です。

完璧な執事であるスティーブンスはダーリントン卿だけでなく、後の主人であるルイス卿にも大変頼りにされているのです。

そして執事長として屋敷全体から重宝されている様子がうかがえます。

「私情」は持ち込まない

スティーブンスは「執事」としての職務を忠実に全うすることを何より徹底しています。

そのため、その妨げとなるものは一切受け付けないようにしているのです。

後々関係性が変化していくケントンにも、恋愛や駆け落ちはしないようにと採用面接で強く説明する姿がありました。

このように恋愛や恋愛感情を仕事に持ち込まないようにしている様子が忠実に描かれているのです。

また、ケントンが摘んできてくれた花束に対しても、気が散るからという理由で部屋に花を飾ることさえ許しません。

一見冷たいと思われても仕方がない対応を取るのでした。

また、感情を表に出さないということを象徴する出来事が起こります。

副執事として雇われた実父のウィリアムが会議中に病死してしまうシーンです。

スティーブンスは動揺を決して表に出さず、最後まで会議の成功のため仕事をやり遂げました。

他にもダーリントン卿などに政治的・外交的な質問をされても「執事」という立場をわきまえて一切意見を述べることはありません。

これでもかというくらい感情を出さないシーンを描くことで、スティーブンスの人物像を視聴者に印象付けることに成功したといえるでしょう。

ぶれない主人への「忠誠」

英国執事の流儀[画像版]

スティーブンスは執事として「主人への忠誠」が決してぶれることがありません

また、何よりも主人の意見や意向を尊重することを信条としています。

彼の最初の主人であるダーリントン卿は、次第にナチズムに傾倒していくようになりました。

ユダヤ人女中の解雇をスティーブンスに命じるなど、ナチズムの世界へ足を踏み入れていくのです。

スティーブンスはまさに思想や感情を封印して、ダーリントン卿に仕えることを選んだのでした。

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