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【インセプション(ネタバレ)】ラストシーンのコマの意味とその後を徹底考察!キャラの名前の秘密とは?「虚無」の真意に迫る

SF inception

出典元:https://https://www.amazon.co.jp/dp/B0050ICKEQ/cinema-notes-22

クリストファー・ノーラン監督はバットマンの『ダークナイト』で知られるハリウッドの名匠です。

そんな名監督による2010年製作の映画が本作『インセプション』になります。

『インセプション』は日本でも難解な映画として知られているでしょう。

夢の中の多次元階層が目まぐるしく交錯するストーリー展開であり、混乱するのも無理はありません。

ここではそれを分かりやすく解説します。そしてラストに回り続けるコマが示唆することや、キャラの名前の由来。

また虚無が何を意味するのかについてじっくり解説してゆきましょう。

ラストに回るコマが意味するもの

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作中ではレオナルド・ディカプリオ演じる主人公のコブが回すコマが目をひきつけます。一体それは何を意味するものなのでしょう。

トーテムのように信仰の対象とも重なるコマ

コブが回す小さなコマについて、コブの相棒アーサーはそれがトーテムだと指摘します。

トーテムとは一般的に部族などに崇められる宗教的な意味合いが込められたシンボルのことです。

トーテム・ポールという風変わりな彫刻のある柱を見たことがある人も多いでしょう。

コブが回すコマは基本、そこが現実であるかどうかを判断する基準になるもの。回り続ければ夢の中。止まれば現実というわけです。

コブは夢の中に入って要人の機密情報を抜き出したりアイデアを植えつけたりするスパイです。

そのためコマでその世界の虚実を確かめることは不可欠なことでしょう。

しかしコマは絶対の基準にはなりません。コブが夢にいても彼がそう願えばコマは止まるはずです。夢の中には人の潜在意識が反映されるのです。

その意味で、コマはトーテムのように信仰の対象だといえるでしょう。コマが出す答えには少なからずコブの感情や願望もふくまれているのです。

最後に残した大きな余白

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コブが子どもたちに再会して映画はハッピーエンドを迎えます。最後のショットはコブが回したコマになり、回る途中でエンドクレジットが入ります。

鑑賞者には止まるのか回り続けるのかが分かりません。よく見るとコマが傾きかけるのでハッピーエンドの暗示と受け取った人もいるでしょう。

しかし作り手サイドとしては、映画の結末を観客の解釈にゆだねる形にしたといえます。映画は最後に大きな余白を残すことになりました。

観た人の多くはさまざまな想像をかきたてられることになったでしょう。物語はこういう終わり方の方がより愛されるものになるのかもしれません。

コマの行方によって変わる後日談

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映画は回り続けるコマと共に終わりました。そのコマは2通りの真逆の後日談を喚起します。

大団円

もしコマが止まれば飛行機から降りた後の筋が現実になりハッピーエンドになります。

主人公のコブはサイトーとの契約を果たすことで妻の殺人容疑が解かれ母国アメリカに帰国。

子どもたちと再会し、亡き妻モルへの未練や罪悪感も断ち切ることができるでしょう。一方虚無に落ちたサイトーもコブによって現実に無事生還

ロバートはインセプションで捏造された父の遺言により父が所有する大企業の解体を決定。父の真似ではない新事業を始めるでしょう。

そしてロバートの父の大企業と競合していたサイトーの組織の事業も上手くゆくはずです。このようにコマが止まれば大団円になります。

虚無の囚人

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もしコマが回り続けたままならバッドエンドになります。

コブと子どもの再会の場が夢想であれば、コブもサイトーも共に虚無に落ちたままということになるでしょう。

コブはモルと虚無の中で夢の王国に生きる道を選んだ事になります。が、その愛するモルもすでに自殺しているのでコブの願望投影に過ぎません。

コブが子どもとの再会を夢想したのは、コブの中にまだ現実に戻りたいという願望があるからでしょう。

サイトーは時間の流れが恐ろしく遅い虚無の中で何百年と生きながらえることになるはずです。

そして現実にいるこん睡状態の自らが老衰することで、いつかリアルに死ぬということになるのではないでしょうか。

コマが回り続ければコブとサイトーは虚無の中の囚人となり一生闇の中に生き続ける存在になるといえるでしょう。

変わったキャラの名前に込められた意味

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ノーラン監督にはキャラの名前へのこだわりがあり、この映画もその例外ではありません。

メインキャラ全員の頭文字を足すと…

主人公のコブや妻のモルという名前は欧米でも珍しい名前です。

コブやモルにはラテン語の意味がふくまれています。コブはラテン語では神に属するものという意味合いがあるそうです。

また高名な建築家のヘンリー・コブがモデルにもなっています。

夢の中でまさに神のように都市の建造物などを創造する主人公にコブという名前はぴったりでしょう。

コブの妻モルはラテン語の「悪い・mal」からきています。コブを虚無の中に引きずり込もうとする女にモルもまたぴったりの名前です。

また主要キャラの頭文字を組み合わせると「DREAMS」になるというのもこの映画の有名なトリビアです。

コブにも通じるサイトーの名前の由来

日本人として気になるのは渡辺謙演じるサイトーです。ただ日本人によくある名前の斉藤をつけたのだと誰もが思うでしょう。

しかし実はここにもノーラン監督の意図があるのかもしれません。サイトーは今では数多くの漢字で書かれる名字ながら語源があります。

諸説ある中で一般的には平安時代、伊勢神宮の齋宮頭(さいぐうのかみ)という役人につけられた名字・齋藤になるようです。

そしてその齋宮頭とは何と、神事に当たる官職でした。ここでサイトーが同じく神に属する意味を持つコブとつながります。

ノーラン監督が意図していたのかどうかは分かりませんが、興味深い一致だといえるでしょう。

虚無の真意とは

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映画の中、人の心の中の最も深い場所として虚無がでてきます。その真意を探りましょう。

カトリック教のリンボと重なる虚無

映画に出てくる虚無とは「Limbo・リンボ」の日本語訳です。リンボとはカトリック教において辺獄を意味します。

欧米ではリンボ・辺獄は大抵「Children’s Limbo」と呼ばれ、幼くして死んだ子どもたちが行く場所を指すのです。

キリスト教では誰もが原罪を背負って生まれてくると考えられています。

そのため、まだ聖職者から洗礼を受けていない子どもが死ぬと天国には行けなくなるのです。

つまりリンボ・辺獄とは天国でも地獄でもない不可思議な場所だといえます。

『インセプション』のリンボは人が神のように世界を創造する夢の最深部のこと。

神に反する罪人が集まるどこでもない場所という意味で、カトリックのリンボと重なります。

ノーラン監督がリンボという呼び名にしたのもこのような共通点を見出してのことだったのではないでしょうか。

潜在意識だけが存在する夢の王国

ポスター/スチール 写真 A4 パターンB インセプション 光沢プリント『インセプション』におけるリンボ・虚無はサイトーのように夢の中で死んだ人。またモルのように現実世界を拒絶した人が落ちる場所です。

その意味で虚無という日本語訳は適当でしょう。映画には夢の階層がありますが、虚無だけは他と違っています。

虚無は夢を見ている人・夢の主がいなくても成立し潜在意識だけが存在します。また創造力が無限に働かせられる夢の王国だともいえるでしょう。

それは心理学者ユングのいう集合的無意識とも重なります。人は心の最深部・無意識の中では皆つながっていて、共通の世界を生きている。

そんな概念なのですが、それはこの映画の虚無と似ています。この虚無がある事で『インセプション』の世界観は果てしなく深く見えるのです。

虚無が5つ目にくる5次元世界のルールとは

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『インセプション』を観て、何が何だかよく分からなかったという人は多いでしょう。

それもそのはず、映画の中盤以降は、主に5つもの違う世界・階層があるのです。

1つ目は皆で飛行機で眠っている現実。2つ目はカーチェイスのあるユスフの見る夢。3つ目は無重力のホテルで格闘するアーサーの夢。

4つ目は雪山で武装集団と銃撃合戦をするイームスの夢。そして5つ目が虚無になります。さらにこの5つはわずかにリンクしています。

例えば3つ目の世界でホテルが無重力なのは、2つ目の世界で皆が乗っている車が橋から転落しているからです。

また5つ目の世界・虚無にいるモルが4つ目の世界・雪山の病院に現れたりもします。

これ以外でも虚無にいるモルは夢のさまざまな階層に影響を及ぼします。

ここには、虚無という世界が遠くにあるようで近くにもあるというその真意がふくまれているのではないでしょうか。

それぞれの世界で時間軸が異なり、1から5に向かうほど時間の流れが加速度的に遅くなるのもポイント。

こういうことを頭に入れてもう一度観れば、おそらく理解が深まるのではないでしょうか。

夢と現実どちらが本当の世界

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モルは現実世界と虚無にある夢の王国がひっくり返ったアイデアを持っています。虚無こそが自分の生きる現実だと思い込んでいるのです。

これは夢か現実かというのはSFの定番設定です。『インセプション』はそこを超えて現実と夢には境界線があるのかという問いを投げかけます。

SF小説の大家、フィリップ・K・ディックもまたその虚実混交の世界観を書き続けた人です。

『インセプション』の最後のコマが回り続けるならば、コブはモルと同じく虚無の世界にこそ真実味を感じたということにもなります。

現実と心の最深部。いったいどちらが本当の世界なのか。これは永遠の謎ともいえることでしょう。