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イギリス映画の「リトル・ダンサー」は、2000年に公開され話題を呼んだ名作です。
当時は軽い気持ちで観て、大きな感動を得たという人が後を絶ちませんでした。
随所に抽象的な表現も散りばめられた作品ですが、ビリーには実在のモデルがいるのでしょうか。
そしてなぜラストシーンに成長したビリーの姿が必要だったのか……。
映画では語られなかったビリーがバレエに没頭した理由を中心に、深く詳しく考察していきましょう。
ビリーがバレエに没頭した理由
劇中では、何となくバレエに興味を持ったビリーの姿が描かれていました。
しかしなぜ彼は、これほどまでにバレエに没頭したのでしょう。
母親と祖母の影響
まず私達は固定概念を捨てなければなりません。
もしも、ビリーが女子だったら母親と祖母の影響を受けバレエを始めたと自然に納得できるのではないでしょうか。
ビリーが男子だから母親と祖母の存在がバレエを始める動機として弱い、というのは凝り固まった考え方です。
亡き母の残したピアノ、祖母がバレエをやっていた……。
このことが彼にバレエへの興味を持たせたのは間違いないでしょう。
人間性に関係している
ビリーは殴り合うボクシングは嫌いです。
音楽に溶け込むような美しいバレエに一目ぼれをしました。
男は強くあるべきという当時の頑なな思考が、彼の存在を認めませんでした。
近年では日本でも、子供の個性を重視する動きが強くなっています。
男子でも穏やかな物事を好む子もいれば、激しい物事を好む子もいるのです。
ビリーは優しい心を持ち、美しいものを好む少年だったということでしょう。
彼が不遇な立場に立ちながらも、バレエに没頭したのは時代背景に答えが隠されています。
時代背景にヒントがある
映画の舞台となったのは1984年のイギリスです。
この年はサッチャー政権が炭鉱の合理化を進め、多数の失業者が出た年です。
映画で描かれていたのは実際に起こっていたストライキで、現実でもストライキ組合は敗北しています。
未来のない不安定な社会で、ビリーにとってバレエはたった一つの光だったのではないでしょうか。
幸せを感じることが出来ない現実に生き、自分が唯一幸せを感じる場所がバレエだったのです。