一度は愛した女性の翼だから取っておいたのでしょうか。仮にそうならば、彼女と和解するなり許しを乞う行動をすべきです。
しかしステファンの目にはマレフィセントが邪魔者としか映っていないようにみえます。
ステファンは欲深き男性ですから、マレフィセントを自分のものにしたという証を手放したくなかったのです。
出世欲・性欲・独占欲など男性の欲深さを体現しているのがステファンというキャラクターであることが分かります。
そんなステファンのよく深さが妖精マレフィセントに邪悪さをもたらした原因でもあるのです。
糸車の針が象徴するもの
「糸車の針に指を刺される」という表現はいかにもおとぎ話らしさがあります。
しかし糸車なんて一度も作品中に登場していないのに、こんな重要な役割を与えられるのはなぜでしょうか。
隠された意味
糸車の針は男性器を表す隠語であるという解釈がされています。
そこから派生して、糸車の針に刺されることは異性と肉体関係を結ぶことを意味します。
「永遠の眠りにつく」とは、体は生きていても心が死んでいる状態です。
そう考えるとこの肉体関係は愛のあるものではなく、マレフィセントと同様に性暴力を受けたと考えるのが妥当でしょう。
糸車を焼き尽くしたステファン
自分がマレフィセントにした卑劣行為を棚に上げて、娘の身を案ずるステファン。
そんな彼がとった手段の1つが「国中の糸車を焼き尽くす」です。
この表現もサラッと聞き流してしまえば何のこともないのですが、実は国中の男性を殺したといい換えることができるのです。
一体どれだけの人を犠牲にして生き延びる気なのでしょうか。
キスで目覚めなかった理由
フィリップ王子のキスで目覚めなかったオーロラ姫は、マレフィセントのキスにより目を覚ますことができました。
王子様のキスでお姫様が目覚めるのがおとぎ話の定番だっただけに、不意を突かれた人も多かったのではないでしょうか。
男女の愛だけが真実の愛ではなく、家族愛によってオーロラ姫は目覚めたのだという見方がほとんどだと思います。
しかしオーロラ姫が目覚めなかったのには別の理由もあるようです。
男性からの自立
永遠の眠りについたオーロラ姫は性暴力の被害者だという解釈ができるとお話しました。
心も体も傷ついた彼女を癒すことができるのは、男性であるフィリップ王子なはずがありません。
男性を受け入れない姿勢が、眠ったままのオーロラ姫からうかがい知ることができるのではないでしょうか。
女性の絆
男性からの暴力に心を殺されたオーロラ姫を救えるのは、同じ境遇に身を置いた過去を持つマレフィセントしかいません。
お姫様を王子様が助けてくれるというストーリーは現代にはそぐわないと判断したのです。
女性は男性に助けられるような弱い生き物なのでしょうか。
女性の自立がこれからの社会に必要なのだと訴えかけているようにも思えます。
オーロラ姫
憎きステファンの娘オーロラ姫に、自分と同じ目に遭わせてやろうと呪いをかけたマレフィセント。
純真無垢なオーロラ姫を見ているうちに、幼い頃の自分と重ね合わせます。