そして16歳になる頃オーロラ姫もかつての自分のように凌辱され、永遠の眠りにつくのを客観的に見ることになるのです。

マレフィセントはステファンへの復讐に集中することで性被害を受けた事実から目を背けてきました。

しかしオーロラ姫を通して被害を直視することで、自分の過去を受け入れたのです。

ずっと心の目を固く閉じていたマレフィセント。その目を開いたことがオーロラ姫の目覚めにつながったのではないでしょうか。

真実の愛

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映画「マレフィセント」の最大のテーマは真実の愛です。

マレフィセント自身も真実の愛は男女の愛だと決めつけていたようで、フィリップ王子にキスをさせていました。

観客の私達も男女の愛を想像していたので、良い意味で裏切られる展開が1番の見せ所だと思います。

アンジェリーナ・ジョリーの実生活が反映

マレフィセント演じるアンジェリーナ・ジョリーは実子以外にも3人の養子を育てています。

貧しい国に足を運び支援するとともに孤児を引き取って育てる活動もしている彼女はマレフィセント同様に愛情が深い人物です。

血は繋がっていなくても母親として愛を注ぐことができるのだと、身をもって証明しています。

オーロラ姫とマレフィセントは血の繋がりはありませんでしたが、マレフィセントが育ての親同然でした。

愛おしく見つめるマレフィセントの母なる愛が真実の愛に相応しいと納得した観客は多かったのではないでしょうか。

一時は悪に支配されていたマレフィセントの心の中には愛という善の部分も残っていたのです。

自己愛という一面

家族愛が表のテーマだとすると、性犯罪の被害者たちが立ち上がろうとする姿が裏のテーマだといえそうです。

オーロラ姫はマレフィセントの写し鏡と捉えることができます。

マレフィセントが自分を客観的に見るための形代ともいえるでしょう。

マレフィセントがオーロラ姫にキスをすることで性被害者の自分を受け入れる結果となりました。

真実の愛とは自分を許すこと自分を愛すること

そのことに気づけたマレフィセントはステファンとの直接対決に向かいました。

作中のステファンは悪の象徴として描かれています。

そんな彼との対決はマレフィセントが自身の悪なる部分と向き合う時が来たことを意味しているのです。

悪は滅ぼすべきなのか

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「眠れる森の美女」では徹底的な悪役だったマレフィセントの過去を、彼女を主役にして描いた映画「マレフィセント」。

おとぎ話の世界では勧善懲悪は揺るぎない正義であり、マレフィセントは滅ぼされるのが当然と思われてきました。

しかし今回の作品のように悪の道に足を踏み入れても仕方ないと思えるような理由があったなら、悪は滅ぼすべきなのでしょうか

善と悪は見る側によって逆転することもあります。

誰がどのような思惑で善悪を判断するのか。片方の見方からだけで判断していいのか。

映画「マレフィセント」は色んな意味で私達に問題提起する深い作品に仕上がっています。

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