https://www.amazon.co.jp/dp/B071GBVRD3/?tag=cinema-notes-22
1996年に公開された『トレインスポッティング』はスコットランドが舞台の映画です。
有名な俳優を使わず低予算で作られた映画でしたが、英国のみならず米国や日本でもヒットしました。
映画の題材はヘロインや犯罪など、一見すると大衆受けするものではありません。
なぜ『トレインスポッティング』が世界でヒットしたのか理由を解説していきましょう。
テンポの良さと斬新な映像
この映画はいきなりレントンとスパッドが全力疾走しているシーンから始まります。
この冒頭が象徴するように、この映画に出てくる若者たちは最初から最後まで追いかけてくるものから必死で逃げています。
その追いかけてくるものとは、レントンがモノローグで語るように、家族や出世・大型テレビなどの現実、つまり人生なのです。
追いかけてくるものから逃げるために、若者たちはさまざまな手段を用いました。
その手段はヘロインを筆頭に暴力・セックス、ショーン・コネリーのマニアになるなど多岐に渡ります。
レントンはヘロイン、ベグビーは暴力、トミーはセックス、シック・ボーイはショーン・コネリーに逃げ込んでいます。
善良だけれど鈍いスパッドはそんな仲間に振り回されるばかりです。
まっとうな人生から全力で逃げる若者を描いたのがこの映画だといえるでしょう。
この映画のヒットは、1996年にスコットランドの若者たちが抱えていた閉塞感に、米国や日本の若者が共鳴したということです。
強烈な身体感覚
この映画は露悪的といえるまでに下品な代物をまざまざと描いています。それが観ている私たちに身体感覚を伴って突き刺さるのです。
衝撃のトイレシーン
映画が始まって10分もしないうちに主人公の露骨な排泄シーンが映し出された映画がこれまでに存在したでしょうか?
レントンが便器に身体を突っ込むシーンは観ているこちらまで吐き気を催すほどの強烈なシーンでした。
ちなみにここで使われていた茶色いものはチョコレートです。撮影現場はチョコレートの甘い香りでいっぱいだったそうですよ。
しかしマクレガーの渾身の演技のおかげで観ているこちらまで気持ち悪くなってしまうほどの映像でした。
撮影現場で役者たちは映画そのままに飲んだくれていたそうで、いつも二日酔いで撮影に臨んでいたとのこと。
たしかにレントンはいつも気分が悪そうにゲップをしていますし顔も真っ青です。
いろんな意味で非常にリアルな映画だといえます。
悪夢の朝食シーン
スパッドがガールフレンドの家で下痢を漏らしそれをぶちまけたシーンは目を背けたいほどのリアルなものでした。
イギリスの伝統的なブレックファーストをぶち壊す悪夢のような例のシーンはなかなか忘れられそうにありません。
以上に挙げたシーン以外にも、露骨で露悪的なシーンが満載なのが『トレインスポッティング』です。