そしてもうだれも信用できない・信頼してはいけないという哀の悲しく深い闇を表現しています。
少年探偵団との間で芽生えた絆
「天国へのカウントダウン」といえば、車で隣のビルに飛び移るというこのラストシーンは驚愕で忘れられないシーンだといえます。
少年探偵団との間で芽生えた絆
30秒数える中で一人ビルに残ろうとする哀。
しかし探偵団の仲間である元太や光彦の言葉が彼女に再び生きる活力を与える事になりました。
一見子供が友達を助ける為にした当たり前のような行動ですが、この二人の行動は固く閉ざされていた哀の心の氷を溶かしたのです。
哀がコナンに発した台詞が表すもの
歩美がコナンに抱く恋心を伝える暗に示すシーンでは心臓の音で時間を計測するという荒業を成功させます。
車が無事隣のビルに移り、事件解決といった部分、心なしか哀の表情も晴れています。
そして哀はコナンに言います。
吉田さんを泣かせたら私、許さないわよ
引用:名探偵コナン 天国へのカウントダウン/配給会社:東宝
この台詞がこの映画の内容を全て物語っているのです。
今まで姉しかいなかった自分に少年探偵団やコナンという新しい仲間ができた。
自分も幸せになっていいのだという確かな気持ちを哀はこの一連の出来事から得ます。
そして、長い間自分を苦しめていた姉の呪縛から解放されました。
この映画の裏主人公は哀!
「名探偵コナン」の主人公といえば勿論コナンですが、「天国へのカウントダウン」というこの映画で、キーパーソンとなっているのは哀です。
コナンが表の主人公であるなら、哀は裏の主人公といえるでしょう。
一見、コナンの活躍や歩美ちゃんの可愛らしさが目立つ感じの作品です。
しかしコナンや歩美ちゃんが“動”の登場人物なら、哀は“静”の魅力を持った重要な役割を持った登場人物といえます。
哀が心を取り戻すまでの物語
「天国へのカウントダウン」は哀が人間らしい心を取り戻していく作品であり、自分の居場所を見つけていく物語でもあります。
灰原哀が探偵団を受け入れた
少年探偵団やコナンというかけがえのない仲間を見つける事ができた哀。
今まで姉の存在しか見えていなかった哀にとってその存在は一筋のかけがえのない希望の光になりました。
いつもお母さんのように少年探偵団の事を見守る哀という静かだけど温かい存在。
そんな哀の心の成長物語であり、哀が新しい自分のアイデンティティを見つけるまでの過程を描いた作品なのです。
劇場版だからこそ描けた心理描写
国民的アニメとなったコナンですが、劇場版だからこそ垣間見える細かな心理描写が魅力です。