彼をそこまで駆り立てたものは一体何だったのでしょう。
人を殺すという心情
ウォルターはエミリオの殺害からはじまり、多くの人を殺害しています。
その多くは彼自身を脅かす存在という理由からの殺人です。
中にはゲイルのように、危害に関係なくメスを作るのに邪魔な存在だからという理由で殺した人もいました。
普通の精神を持っている人間ならば、人を殺してしまったら自分の心にも大きな傷が残ります。
しかしウォルターは、例え殺害したのが悪人とはいえ殺したあとも平然としていました。
余命2年という短い中で暴走している彼にとって、人並みの感情は失われていたようです。
保身のために人を殺すのは小心さゆえ
ウォルターは元々小心さを持った人物です。
そんな彼が危険な裏社会に足を踏み入れたので、他人を疑い他人を排除することで自身に安心を与えていたのかもしれません。
ウォルターは殺される可能性があるなら、先に殺してしまおうと考えるタイプの人物です。
頭の回転がよく、彼が元々持っていた冷淡さがハイゼンベルクを成長させていったのでしょう。
彼が妻に残した告白がすべてを物語る
自分がしたことは家族のためでなく、自分のためにやったことなんだ
生きている実感が出来た
引用:ブレイキング・バッド/配給会社:AMC
ウォルターは最後に家族に会った際に、妻に上記のセリフを残しています。
彼自身「家族の為」ではないということに気が付いていたのです。
人を殺すことで自分の「生」を実感し、自分のメスが売れることで自分の技術力を実感できたのでしょう。
もしも彼がまっとうな道でその技術力を発揮できていたら、彼の人生は180度違ったものになったはずです。
抑圧からの解放や自分への陶酔
彼は日々の生活で実力を認められず、やりたくないアルバイトまでして抑圧された人生を送っていました。
ハイゼンベルクとしての自分は、自由で大金を転がすような生きがいのある人物です。
彼は話が進むごとに自分を縛りつける存在の人物と距離をおいていますが、そうすることで抑圧からどんどん解放されているのです。
彼は解放という欲望にのまれ、自分の力に陶酔することで新のハイゼンベルクとなったのでしょう。
「ハイゼンベルク」を名乗った理由
そもそもなぜウォルターはハイゼンベルクと名乗ったのでしょう。
彼がトゥコに名乗った「ハイゼンベルグ」という名には、どんな意味があったのでしょう。
後にハンクはこの名を不気味だといっています。
アインシュタインは、「ハイゼンベルクがとうとう、原子炉の開発に成功したので、原爆を作るのは時間の問題だ。」と考えた。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴェルナー・ハイゼンベルク
ハイゼンベルクは実在した物理学者で、大量殺人の原爆を生み出す元を作った人物です。