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【キック・アス】他のヒーロー映画との違いを解説!ヒット・ガールのギャップの魅力は?復讐を誓うクリスの心情とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B004IEB0BC/cinema-notes-22

ハリウッドのスーパーヒーロー映画として最も変わったものはと問われれば、多くの人がこの『キック・アス』をあげるのではないでしょうか。

映画の主役キック・アスはただのスーパーヒーロー・オタクの高校生です。頭脳・体力・財力・宿命・特殊能力、そのすべてを持っていません

つまりヒーローネクストドア・隣の家に住むヒーローなのです。

そんな映画がなぜ他のヒーロー映画に負けないような魅力を持つに至ったのか解説します。

またキック・アスよりも人気になったヒット・ガールの魅力についてや映画のラストに復讐を誓ったクリスについても見てゆきましょう。

『キック・アス』というタイトルの真意

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ハリウッドの他のヒーロー映画との違いは何より『キック・アス』というタイトルに出ています。その意味を探りましょう。

いわゆるヘタレの比ゆ

「Kick Ass」という言葉は老若男女アメリカ人の日常会話でよく使われる言葉です。しかし「尻を蹴る」という文字通りに使われてはいません。

キック・アスというのはアメリカでさまざまな使い方がされる一種の比ゆ表現だといえます。

基本「He’s a Kick ass」という風にカッコいい人という意味で使います。がその反面、尻を蹴られる的になるような弱虫を指すこともあるのです。

主人公の高校生・デイヴは不良にかつあげされても黙ってお金を差し出すような男でした。日本の俗語でいえば「ヘタレ」です。

デイヴが自らを「キック・アスだ」と名乗ったのは単にカッコつけたかったからでしょう。

が、その反面で弱虫の代表になりたいという思いもあったのかもしれません。

キック・アスとはこのように正反対の意味を持っているのです。

軽いノリと勇気の入り混じったキック・アス

「Kick Ass」は動詞で使われる場合「やっつけろ!」という意味になります。

しかしスーパーヒーローが悪を倒すような大げさな意味ではありません。軽くやっつけてくるような感じなのです。

例えば学業のライバルがいたら試験の日に親に向かって「I’m gonna kick his ass」(あいつをやっつけてやる)などといいます。

それは警察のサポート役として街の自警団レベルの仕事をするキック・アスにもぴったりの意味合いでしょう。

また「Kick Ass」には「勇気を出せ!」「気合を入れろ!」といった意味合いもあります。

アメフトの試合前に選手たちが集まって「We gonna Kick their Ass」(あいつらをやっつけようぜ)などと大声で叫ぶのもそのためです。

これもまた勇気をふりしぼって街のヒーローになったキック・アスの姿に重なります。

このように「キック・アス」という名前自身に、他のスーパーヒーローとは一味違う魅力がさまざまに反映されているといえるでしょう。

他のヒーローにないキック・アスの個性とは

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キャラの個性という点で、キック・アスは他のスーパーヒーローよりも頭1つ抜けているといえます。その魅力に迫りましょう。

自分でヒーローになることを決心

主人公デイヴは楽観主義と純真さがあれば誰でもヒーローになれるという信条の元、キック・アスになります。

一方ほとんどのスーパーヒーローの出発点は受動的です。

スパイダーマンはその特殊能力を有効に使うため、バットマンは悲劇的な宿命に導かれてヒーローの道に進みました。

デイヴの方が自発的な点で真性ヒーローだといえるのではないでしょうか。自らヒーローごっこを始め、そのうち本物のヒーローになる。

この筋を見たとき、日本人にはアニメにもなった漫画『ウイングマン』を思い浮かべた人もいるでしょう。

原作者マーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrはもしかしたら影響を受けたのかもしれません。

ヒーローへの純真な憧れとそれを実践した行動力にこそ、キック・アスの個性の核心があるといえるでしょう。

目的は正義のヒーローを増やすこと

ブロマイド写真★『キック・アス』ヒットガールとキック・アス/クロエ・グレース・モレッツ、アーロン・テイラー=ジョンソン

ヒーローは空想の中にしかいないのに悪党は現実に数多くいる。デイヴはこんな不満もあって自らヒーローになろうとしました。

キック・アスの戦闘シーンはネット上に上げられ世の中に広まってゆきます。そしてレッド・ミストなどのヒーロー・フォロワーが現れました。

続編『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』ではさらに大勢のヒーロー仲間が加わり、キック・アスはそれに満足します。

ほとんどのスーパーヒーローは自らが悪を倒すことをゴールにしています。

しかしキック・アスは自らが弱虫ゆえ最初から正義のヒーローを増やすことを目的にしていました。

そのためキック・アスの方がリアルに世の正義にコミットしているといえるでしょう。

他のヒーロー映画とは違うキック・アスの真髄

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『キック・アス』は他のヒーロー映画と根本的にどこが違っているのでしょう。2つの点を見てゆきます。

痛みが伝わるリアルな戦闘シーン

『キック・アス』はR15指定・15歳以下のDVDレンタルおよび購入規制がかけられている極めて暴力的な映画です。

普通、スーパーヒーロー映画とはスタイリッシュな戦闘シーンを撮ります。ヒーローがいかにクールにかっこよく悪を倒すのかが見所なのです。

しかし『キック・アス』の戦いはリアルです。街の不良やギャングの汚いリアルなケンカをヒーロー映画の中に落とし込んだらどうなるのか。

この映画にはそういうテーマがあるはずです。タランティーノ映画の暴力にも匹敵するような痛みと残酷さがあるのです。

ヒーロー映画のファンはこの点で賛否両論分かれるのではないでしょうか。

最大の敵は人々の無関心

ブロマイド写真★『キック・アス』アーロン・テイラー=ジョンソン/戦うキック・アス

スーパーヒーロー映画にはジョーカーのようなスーパーヴィレイン・超悪役がつきものです。

『キック・アス』にもフランク・ダミーコがいますがギャングのボス以上のキャラではありません。どの街にもいる平凡なギャング・スターです。

キック・アスの最大の敵は目に見えるものではなかったのではないでしょうか。

映画の冒頭、デイヴはかつあげされている最中に見て見ぬふりをする人の姿を目撃します。

またある戦闘場面では周囲の見ているだけの野次馬を罵倒しました。

キック・アスの最大の敵は悪を見過ごす人の弱さ・その無関心さにあったといえるでしょう。彼らもまた悪の共犯者だといえます。

この映画の最大のテーマは、多くの人にそうと気づかせることにあったのではないでしょうか。

ヒット・ガールの魅力

ブロマイド写真★『キック・アス』ヒットガールとビッグ・ダディ/クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ

ヒット・ガールは役柄としてキック・アスのサイドキック(相棒)です。しかしその存在感は主役を食うほどのものでした。

父子鷹ならぬ父娘鷹

父子鷹(おやこだか)とは一般的に父が自分と同じ厳しい道を歩ませるために幼い頃から息子を鍛え上げることを意味します。

野球やボクシングなどではよく聞かれることです。

しかしこの『キック・アス』では父と幼い娘の父娘鷹。その上、元警官の父親は娘にプロの殺人者・ヒットマンの修行を課しています。

父が防弾チョッキをつけた娘を銃撃する冒頭シーンはこの父娘鷹のハンパない本気度を表しているといえるでしょう。

さらにその娘・ヒットガールは11歳のブロンド美少女です。この超ギャップがあるキャラ設定は多くの人の目を奪ったことでしょう。

R15指定映画の要因を11歳の少女が作るギャップ

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ヒット・ガールはただのキャラ設定に留まりません。実際に血なまぐさい殺戮をやってのけるのです。

『キック・アス』はR15指定の映画ですが、その多くの要因を作ったのがこの小さな美少女でした。

さらにヒット・ガールを演じたクロエ・グレース・モレッツは当時11歳。当時は彼女自身も自分の出演映画を観れなかったのです。

ハリウッドの映画史において、こんな皮肉なことは他になかったことでしょう。

小さな少女に残酷な殺戮シーンをさせたということで映画はバッシングされることにもなりました。確かにこれは一種の児童虐待です。

この点が引っかかってソニーなどの大手スタジオは製作を拒否しました。しかし映画が公開されるとヒット・ガールは非難以上に賞賛されました。

良くも悪くもそれがアメリカのショービジネスだといえるでしょう。

クロエ・グレース・モレッツにもギャップが

★直筆サイン★クロエ グレース モレッツ★Chloe Grace Moretz

ヒット・ガールを演じたクロエ・グレース・モレッツ自身もまたギャップのある役者人生を送ってきたといえます。

『キック・アス』の前にはすでに『500日のサマー』という映画で青年に驚きの恋愛アドバイスを送る少女を演じていました。

ヒット・ガールの後も猟奇殺人鬼やサイコ少女のキャリーなどで、ほとんどの若手女優が避けて通るイバラの道を歩み続けています

カワイイ文化真っ盛りの日本から見れば「かわいいのになぜ」となります。しかしかわいいからこそのギャップ戦略だといえるでしょう。

ハリウッドではかわいいだけでは売れません。ヒット・ガールのように11歳の美少女がリアルな殺戮をするくらいのインパクトが必要なのです。

ただクロエは単に変人ばかり演じることで人気者になったわけではありません。

怪演には普通の演技以上の心構えやスキルがいります。クロエはヒット・ガールを演じるに当たって7ヶ月ものアクション指導を受けたそうです。

彼女のユニークな俳優歴は、かわいいだけじゃダメなのよというハリウッドの現実を反映しているといえるでしょう。

復讐を誓ったクリス

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作中ではキック・アスと同様に、自らコスプレしてヒーローになったレッド・ミストことクリスがいます。

しかしそこには裏がありました。クリスはギャングのボスである父フランク・ダミーコに男として認められたくてレッド・ミストになったのです。

彼はずっと正義のヒーローとギャングの間で揺れ動くナイーブな男でした。

が、最期には父の復讐に燃える悪になり、その怒りと共にこの映画を締めくくります。

そのクリスの心情の変化を見ると人がいつ善悪の選択をするのかが分かります。それは自分が大きな痛みを味わったときではないでしょうか。

そこで湧き上がってきた大きな感情を善行や情熱に向けるのか、あるいは悪行や復讐に向けるのか。

クリスの最期の心情の変化はその岐路に立たされたときの選択の大切さを訴えてきます。