彼女は中国人であると偽っていましたが、本当はロシア人。
瞳の色が夏美と同じ灰色だったことからもロシアの血を引くことが暗示されています。
スコーピオンの目的はロマノフ王朝の財宝を手に入れること。邪魔者の右目を狙撃し殺害するという手口が特徴となっています。
また青蘭はラスプーチンの末裔でした。
ラスプーチンはニコライ2世と親密な関係にあり、その財宝はラスプーチンのものになるはずだったと考えていたのです。
なぜラスプーチンのもの?
普通ならロマノフ王朝の財宝はニコライ2世の子孫が所有すべきものです。
しかしニコライ2世一家は反対勢力により暗殺されました。
受け継ぐ者がいない状態になったロマノフ王朝の財宝。そこに名乗りをあげたのがラスプーチンの末裔です。
ニコライ2世と親密だったラスプーチンがその財宝を所有するのが当然と思い込むのも無理はないのかもしれません。
ラスプーチンの所有物になるはずだった財宝が他人の手に渡るのはおかしいと思っていた青蘭。
末裔である自分が本来なら財宝を所有するべきだと主張します。
なぜ右目を狙うのか
スコーピオンである青蘭が敵の右目を狙う理由はラスプーチンにあります。
ラスプーチンは暗殺されてこの世を去りますが、その際右目を激しく殴打されました。
彼の遺体が発見された時に右目が陥没していたことから、末裔である青蘭は敵の右目を標的にしたのです。
実際の歴史がモデルだった
作品の中でキーパーソンになっているロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ2世とその娘マリア。2人は実在の人物です。
そして怪盗キッドや青蘭が狙っていたエッグも実際に存在しています。
ロマノフ王朝最後の皇帝
ロマノフ王朝はロシアに300年続いた王朝で、ニコライ2世の代で滅亡してしまいました。
当時は反乱や戦争が相次ぎ、王朝を倒そうという動きが盛んになっていたのです。
そのためニコライ2世はもちろんのこと、妻や5人の子どもも反対勢力に暗殺されました。
マリアは死んでいた?!
ニコライ2世一家は殺され、全員同じ場所に埋葬されました。
しかし一家が埋葬された場所にマリアの遺骨が見当たらなかったことから「マリア生存説」が浮上していたのです。
マリアは19歳と若かったため、生きていて欲しいという願望もあったのかもしれません。
ですが2007年に別の場所からマリアの遺骨が見つかり、生存説は完全に否定されました。
この映画が公開されたのが1999年だったのでマリアは殺されずに生き延びたという設定を採用したのでしょう。
マリアの生死について史実との矛盾が発生しましたが、逃れてどこかで生きていたというストーリーの方が夢があると思います。
ロマノフ王朝の宝「エッグ」
皇帝へ献上するために作られたエッグは「インペリアル・イースター・エッグ」と呼ばれています。
映画の中では香坂喜市が51個目と52個目を作ったという話になっていました。
実際の歴史では金細工師ファベルジェという人物が50個作ったので、その後に喜市が2個追加したという設定なのでしょう。
それぞれのエッグには「お楽しみ」として必ず小物が入れてあったそうで、何を入れるかは金細工師に任されていました。