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2001年公開の『バニラ・スカイ』は、トム・クルーズ主演のサスペンス映画です。
夢と現実が入り混じり、何度観ても難解であると大きな話題となりました。
そんな本作を徹底的に考察し、デイヴィッドの夢が始まった瞬間や登場する精神科医の存在を紐解いていきます。
最も話題を呼んだラストシーンの意味するものとは一体何なのでしょう。
デイヴィッドの夢が始まった瞬間
本作は夢の中で、現実に起きたことの回想をするシーンからはじまります。
冒頭部分から何やらややこしい空気が流れているのです。
デイヴィッドにとっての現実
まずはデイヴィッドの現実の部分から見ていきましょう。
冒頭でデイヴィッドは誰もいないニューヨークの街を夢に見て、精神科医との下記の会話が入ります。
誰もいない通りは孤独を表している
陳腐な精神分析だ
引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
精神科医と一緒のシーンはすでに彼の夢となっていますが、ここで彼が思い出している記憶は本物です。
本物の記憶を夢の中で精神科医に話しているという設定になっています。
そして、続く精神科医の話は観客をミスリードさせるものでしょう。
それより君はなぜここに?
引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
この会話はデイヴィッドが夢を見ているという伏線になっているのです。
簡潔にまとめると、彼にとっての現実は下記ということになります。
- ジュリアナと寝て朝を迎えた
- ソフィアとパーティで出会った
- ソフィアと出会った日彼女の部屋に行った
- ジュリアナの車に乗って事故に遭った
- 顔や腕を負傷し、ソフィアに会いにいき歩道で寝てしまった
- 二日酔いのままひとりで起きて帰った
- 会社は弁護士と一緒に取り返した
- LEと契約し服毒自殺した
なお、下記の3つはLEによって記憶を消されています。
本作品で夢と現実の間がわかりにくくなっているのは、LEが上手く彼の記憶をつなげたからといえるでしょう。
デイヴィッドにとっての夢が始まった時
デイヴィッドの夢が始まったのは、救護員が後に明かしたように酔って歩道で寝た後からはじまります。
ソフィアが彼を起こしに来てくれますが、あのシーンから全て彼が作り出した夢ということになるのです。
デイヴィッドはLEとの契約の際に「幸せな夢」というオプションを選んでいます。
だからソフィアは、彼が望んでいるセリフを彼に向けてくれたのでしょう。
また夢の中で彼の顔が治っているのも、このオプションのおかげなのです。
デイヴィッドの夢がなぜ悪夢になったのか
「幸せな夢」というオプションをつけながらも、なぜデイヴィッドの夢は悪夢に変わってしまったのでしょう。
それは彼の潜在意識によるものでした。
ジュリアナを軽く扱ったことへの罪悪感が強かったのでしょう。
ソフィアがジュリアナに見えてしまうのは夢の崩壊を意味しています。
問題は潜在意識だった
君の夢は悪夢に、だがその故障は直った
引用:バニラ・スカイ/配給会社:パラマウント映画・UIP
救護員はこの悪夢の説明を上記のようにしています。
LEにとっても潜在意識に邪魔されることは予想外であり、それを故障としたうえで修正したということです。