大丈夫だから目を覚ましてという、スタッフからの声掛けに聞こえます。
ジュリアナの声の目覚まし時計?
同じ過ちを繰り返さないように、LE社の計らいでジュリアナの声が入ったそのままの目覚まし時計を置いていたという考えもあります。
現実を受け入れ生き返るという選択をしたデイヴィッドなので、現実の世界にあった目覚ましを残したのでしょう。
いずれにしても、このラストは観る者に先を委ねる形で終わっています。
OPEN YOUR EYESのメッセージ
現実の世界から逃げ夢の世界を生きてきたデイヴィッドに、再び現実を生きなさいと呼びかけています。
デイヴィッドは救護員によってブライアンやソフィア、そして弁護士トマス・ティップが自分を思っていたことを聞かされました。
自暴自棄になり、周りの愛に気が付かなかったデイヴィッドは心の目を開けて現実社会を生きていくことでしょう。
心を固く閉ざしていては、真実は見えてこないのです。
他人の態度は自分の心次第ということでしょうか。
デイヴィッドは生き返り何をした
劇中にはタイトルにもなったクロード・モネの絵が登場しています。
デイヴィッドの部屋にあったのはLa Seine a Argenteuil(アルジャントゥイユのセーヌ川)です。※上記の画像とは異なります。
その絵の中にはバニラ色の空が広がっていましたが、それも伏線となっています。
バニラ色の澄んだ空は生まれ変わったデイヴィッドの未来を示しているようです。
生まれ変わった世界で彼は無一文、ハンサムな顔も崩れ全てゼロからのスタートです。
しかし彼はおそらく大好きな絵を描いて、駆け出していくのではないでしょうか。
原作はスペイン映画「OPEN YOUR EYES」
本作は1997年に公開された「オープン ユア アイズ」というスペイン映画のリメイク版です。
ストーリー展開は同じですが細部は構成を変えてあります。
ソフィア役のペネロペが原作でもソフィアを演じており、ファンの間では二作品を観比べている人が多いようです。
タイトルは「バニラ・スカイ」と替えていますが、オープン ユア アイズのセリフは意味深なものとしてしっかり残してありました。
難解だからこそ面白い『バニラ・スカイ』
何不自由ない富豪のデイヴィッドが、幸せとは何かを求めていく本作は何度も観返したくなる映画です。
難解な構成に加え、本当の幸せが何なのかという答えも尽きることがありません。
本当にいい映画とは、観終わった後に様々に考察出来る映画ではないでしょうか。