仮想空間の世界では引き出しから銃を持ち出したりもしますが、この演出は後々の秀樹がコナンを助ける重要な伏線となっています。
秀樹の横暴さは、後の秀樹の純粋な子供心を際立たせる為の演出だったのです。
諦めるな!コナン!!
蘭が自分の身を助ける為に滝壺に身を投げてしまった事でありえない事態が発生します。
どんな危機的状況でも最後まで諦めないコナンが「諦める」というコナン史上、最大の衝撃的事件が起きるのです。
しかし、その窮地を助けたのは秀樹でした。最後まで生き残った二人には見えない信頼関係が生まれていたのでした。
秀樹が「諦めるな!」と言う事で秀樹自身がこのゲームを通して生まれ変わったという風なとても重みの増す説得力が生まれたのです。
そして、その魂の叫びがお助けキャラであるホームズを呼び起こしてくれたのです。
ヒロキは何故コナンの正体を知っていた?
秀樹だと思われていた人物は「コクーン」の創設者であり、“ノアズ・アーク”自身であるヒロキ君でした。
ヒロキくんは何故コナンの正体が新一だと知っていたのでしょう?
己の心で生き抜くという事
参加者のDNAからヒロキ君はコナンの正体が新一だとわかったのでしょうが、これにはもっと深い意味があります。
ヒロキ君は生きる気持ちを大切にしてほしいと子供達に投げかけたかったのです。メインはあくまでも子供達なのです。
自分が大人顔負けの天才的な頭脳を持ったが故に大人達に利用され「自殺」という選択をせざるをえませんでした。
今を生きる子供達にはそんな自分のようにはなってほしくない!
大人に利用されるのではなく自分の意志で生き、権力などに頼らず己の強さだけで世の中を生き抜いていってほしい。
そんなヒロキ君の切ないメッセージが込められているのです。
そして、ヒロキ君は半分大人の新一にもその心を忘れないでほしかった心理が垣間見えます。
それぞれの成長物語
お助けキャラはホームズでもあり、同時に新一の事でもありました。
新一がいるから必ず事件は解ける、ヒロキ君は秀樹の身体を借りてゲームに参加する事で夢を叶え、自分自身も成長したのです。
本作の“亡霊”とはノアズ・アークの中を彷徨い続けたヒロキ君の事であり、そんなヒロキ君の亡霊もこのゲーム終了と共に無事に成仏しました。
この物語は子供達の成長物語、新一や蘭や少年探偵団や哀の成長物語であると同時に、ヒロキ君自身の成長物語でもあったのです。