結果、このシーンは娘をさらったことに対する報復と、簡単には死なせないという怒りを表現した重要なシーンです。
妨害してくるジャンへの怒りと焦り
人身売買に関わっているジャン=クロードの家に行き、家族に疑いも持たせず静かにジャンの帰りを待っていました。
何も知らないジャンの妻の前でマフィアの話をし、拳銃まで取り出すように誘導するブライアン。そしてジャンの妻の腕を撃って恫喝します。
このシーンではもうタイムリミットが近いという焦りと、娘の危機である状況を知りながらも妨害しようとしたジャンへの静かな怒りが爆発。
自分の家族が苦しめられる事の苦しみをジャンにも与えるという鬱憤晴らしのような行動もみられました。
終盤は常軌を逸した殺人マシーンに
サンクレア邸に潜入し、誘拐されたキムが麻薬でうつろになってオークションで競られているのを見て怒りを隠せないブライアン。
侵入した部屋の主を脅して無理やり競り落とすのですが、途中から競りのボタンを自分で押すほど必死な様子を見せます。
この時は激しくいら立っており、どうあっても落札して取り返すという感情がありありと伝わりました。
落札した瞬間は安堵した顔になっていますが、娘を確保できたと考えて気が抜けたのでしょう。隙ができてしまいます。
この隙を狙われてブライアンは捕まりますが、自分勝手なサンクレアの言い分に怒り心頭となり、手下ともども皆殺しにして窮地を逃れるのです。
この際も激情に身を任せているようにみえますが、素早く迅速に相手を再起不能にする冷静さがみてとれます。
状況判断は冷静に
キムが連行された船を急襲し、手下を皆殺しにして富豪のいる部屋に入るブライアン。そこではキムにナイフをあて、交渉を要求する富豪が居ます。
この時点でキムを無事に取り返す選択として、交渉の余地はなく、どうやってキムに危害を加えさせずに殺すかのみに集中。
交渉を要求して力の抜けるタイミングを観察して確実に脳を破壊し、指も動かさせず殺害しました。
結局ブライアンは冷静? 異常?
結論から言いますとブライアンはキムが誘拐されて怒り心頭の興奮状態にありながらも、その怒りをコントロールして推進力とし目的を達成できる冷静な男だと言えるでしょう。
ブライアンのような男がキャリアを捧げた工作員という仕事は、こういうメンタルのコントロールができないと遂行できない特殊な職業だと分かります。
制限時間という設定はどう効果を発揮したのか
舞台に時間設定を盛り込むことで、リアリティと危機感を与え、多少強引な行動にも「タイムリミットがあるから」という動機付けになっているのが見事です。
ブライアンの常軌を逸した捜査による「死者数」「負傷者数」「残り時間」「移動距離」を確認しながら試聴することができるスペシャルエディションが存在します。
Blu-ray版でのみ楽しめるので、より詳細に作品を楽しみたい方はそんな特典映像がある事を覚えておくといいでしょう!