しかし両親の事故により環境が一変し、ガンダーラへの道は諦めざるを得なくなってしまいます。
慎之介にとってのガンダーラ
あかねとは対照的に、理想郷であるガンダーラへと1人旅立った慎之介。
音楽の道で生活ができているものの、思い描いたような理想は叶えられていません。
あかねと2人でガンダーラへ行くことができず現実の厳しさを知り、慎之介にとっては理想を叶えられなかった幻の場所となってしまいます。
そして13年前もの間、理想と現実のギャップで苦悩し、自分の気持ちに嘘をついてきました。
しかし、故郷に戻り次第に考え方が変わっていきます。
夢が叶うガンダーラは場所ではなく、自分にとって大事な人や物を大切にすることこそが、幸せなことなんだと気づくのでした。
あおいにとってのガンダーラ
作品のテーマが音楽ということもあり、劇中での演奏シーンはこだわりのある演出に仕上がっています。
映画の冒頭であおいがガンダーラを弾く際に、ベースへヘッドフォンのアンプを差し込み演奏するシーン。
そこでの密閉型イヤフォンを使用した瞬間の周囲の音がなくなる音響効果。
イヤフォンを外した時に聞こえてくる周囲の音の演出など、テーマに恥じない素晴らしい演出です。
そのシーンであおいはこのように呟きます。
「ずっと探してる。どんな夢も叶う場所を。」
引用:空の青さを知る人よ/配給会社:東宝
ガンダーラという曲を通じて「巨大な牢獄を脱したい」という強い願望を吐き出しているようにも感じられました。
空がクソ青いと思ったあおいの気持ちとは
最愛の姉と慎之介の関係を知っていながらも、しんのに対して恋をしていたあおい。
あかねと慎之介が一緒の道を進むという結果を喜びつつも、自分は失恋してしまいます。
しかし、何があっても直向きに頑張るあかねとずっと一緒にいたあおいだからこそ、自分も頑張ろうと決意した言葉だったのではないでしょうか。
映画では語られなかった「その後」
映画の後のストーリーは小説版で明かされています。あかねと慎之介が結婚することは劇中でも描かれていました。
結婚をした2人ですが、慎之介は東京で仕事をするため、2人別々遠距離で生活をしています。
一方あおいは東京で「ガンダーラ」という名のバンドを組み、凱旋公演を行うため故郷の秩父へ戻るというストーリーです。
小説版ではあおいと慎之介の気持ちを掘り下げているような、2人にフォーカスした内容となっています。