劇中では詳しく語られていませんが、リング・スノーストームは吹雪丸の祖先にあたります。
リングは丸、スノーストームは吹雪ということで、名前にも秘密は隠されていたのです。
ここでひとつの考察が浮かびます。
祖先ということは、吹雪丸は将来女として子供を産むことがあったのでしょう。
男として生きることを強いられた吹雪丸に、希望が見える瞬間でもあります。
時間軸の設定が巧み
ヒエール・ジョコマンが時間を超えて犯罪を犯していることで、時間軸がわかりにくくなりそうです。
しかし本作は一貫した繋がりによって、バラバラな時間軸をコンパクトにまとめていました。
それは吹雪丸とリング・スノーストームの繋がりです。
二人がまるで同一人物のように繋がっていることで、過去と未来が一直線に繋がりました。
また、劇中で語られた下記の伝説も時間軸をつなぐ役割を果たしています。
春日家危急存亡の折には3人と1匹の勇士が現れる
引用:クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望/配給回会社:東宝
この伝説を伝えたのはリング・スノーストームであり、まさに伝説の勇士はしんのすけたちだったという巧みな構成です。
吹雪丸の両親が生きていた理由
歴史が戻り全てが夢だったという意味をひろしがタイムパラドックスが起きないという言葉で的確に説明しています。
通常の時間の流れから独立して過去や未来へ移動すること
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/タイムトラベル
リング・スノーストームが過去に戻り伝説を伝えることで、時間の流れから独立した世界にならず、未来にも影響を及ぼさないのです。
原作との違い
クレヨンしんちゃんの原作では映画と少々設定が違っています。
吹雪丸の性別は原作では男でありニューハーフという存在でした。
更に妹の雪乃は弟ではなく妹のままです。
猫ノ進やお銀、珠死朗というキャラクターも映画のオリジナルとして登場しています。
原作での雲黒斎の部下は又楽斎(またがくさい)や羽鬼楽斎(わきがくさい)といったキャラクターが登場しています。
吹雪丸が真面目なキャラクターになったことで、ストーリーに深いメッセージを持たせたのではないでしょうか。
諦めない前向きな姿
『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』はしんのすけ独特の下ネタを散りばめつつも、生と死を描く作品でした。
前半には戦国時代を生き抜くことを、しっかりと描いています。
そしてどんなことがあってもユーモアを忘れないしんのすけの姿は、人生を前向きに歩む見本となっているように感じます。
長く続くアニメは、大人が観ても十分に楽しめる内容なのです。
大人だからこそ、考察するという楽しみを加えてみてはいかがでしょうか。