出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B006C12Q9O/?tag=cinema-notes-22
“Life is beautiful”は米国アカデミー賞を3部門で受賞した、話題作です。
監督ロベルト・ベニーニが、自ら主演をこなす本作品は、ジョズエの経験した実話に基づくと言われています。
ジョズエの父であるグイドが、殺される直前までポジティブで冗談を言えた理由を、歴史的背景から検討していきます。
軍医が出したなぞなぞの答えは、人類にとってポジティブなものを示唆しているようです。一緒に見ていきましょう。
ナチスの台頭が背景にある
第二次世界大戦の終盤にさしかかり、ドイツ軍はイタリアに進軍してきます。西洋社会では、古代からユダヤ人は迫害を受けてきています。
大戦中のホロコーストの背景には、そもそものユダヤ蔑視を利用したナチスの作戦だったと考えられています。
ヘイトキャンペーンを使うことによって団結する民族主義というものは、世界各地で未だに紛争を起こしています。
とても悲しいことですが、それらをどう乗り越えていくかというヒントも、この映画では示されているのではないでしょうか。
見どころの一つの側面でもあるかと思います。
ユダヤの商人
ユダヤの聖地はイスラエルにあることから、ユダヤ人とはイスラエル人を指すと考えている人もいます。
実際のユダヤ人の定義としては、国籍や人種によらず信条であるようです。
ウィキペディアにも以下のような記載がありました。
近代的国民国家が成立してからは宗教的民族集団としての捉え方が広まった。ハラーハーでは、ユダヤ人の母親から生まれた者、あるいは正式な手続きを経てユダヤ教に入信した者がユダヤ人であると規定されている
出典:ウィキペディア/ユダヤ人
我々東洋に住む日本人には、なじみが薄いですが、ユダヤ系の人たちは昔から西洋社会で差別の対象とされてきました。
思想として生き延びるには、血族に頼らないという知恵を身につけた、過酷な経験をしてきた民族です。
キリスト教徒とは、異教徒ということで結婚も反対されていましたが、差別や偏見を超えてドーイはユダヤ系のグイドと結婚します。
大きなリスクのある決断をさせる魅力が、グイドのどこにあったのでしょうか。
人の心を掴むのが上手
ユダヤ人は世界一賢い民族だと聞くことも多いくらい機転が利く人たちです。
場当たり的に見えて、先を見越して先手を打っているので、まるで予言や魔法のように周囲には見えます。
グイドが車寄せに停めたら、ドーイがちょうど乗ってきたり、鍵が降ってきたり、濡れた帽子が交換されたり、まるで魔法がかかったようです。
これは、往々にして女性の乙女心をくすぐるシチュエーションです。
「この人といれば、どんな願いでも叶っていくのではないか。」という幻想を抱かせるような作戦だと思われます。
思い通りになる
グイドのホテルでのサービスを見てもわかるように、話術が巧みです。
お客様に選ばせているようで、意図をもってあるメニューを選ぶように仕向けています。メンタリストDAIGOさんも顔負けのレベルです。
軍医の謎かけにも、応じて簡単に解いてしまうし、また即妙に投げかけ返すなぞなぞにも感心します。