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【サクリファイス】家を燃やした真意を考察!なぜ怒る妻に感謝を述べた?救いを求めるアレクサンデルにマリアが与えた影響とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07SJG1GHZ/?tag=cinema-notes-22

【サクリファイス】は「惑星ソラリス」で著名な鬼才タルコフスキー監督による宗教色溢れる魂の物語です。

タルコフスキー監督の作品は難解なものが多いことで有名ですが、この【サクリファイス】も象徴的な描写が数多く見られ、非常に難解な作品になっています。

終盤でアレクサンデルは家族と暮らした自分の家に火をかけます。やや唐突な行動に見えますが、これには必然的な理由がありました。

全編に何度も映し出されるダヴィンチの東方三博士礼拝の絵は作品全体にキリスト教による魂の救済を暗示しています。

アレクサンデルの絶望

ポスターサクリファイスを生け贄に捧げる
この作品ではアレクサンデルの独白の形で彼の絶望が何度も語られます。

彼は何に対して絶望し、その救済を何に求めることになるのでしょうか。

アレクサンデルは基本的に無神論者でした。

彼はやがてニーチェのニヒリズムに向かうオットーとは異なり、マリアの手助けでキリスト教による魂の救済を受けることになるのです。

彼の絶望の中身を見てみましょう。

文明・社会に対する絶望

戦争

彼は現代の物質文明に絶望しています。人類は道を誤ったと考えているのです。

技術革新は人類の幸せのためではなく暴力と破壊のためのツールを人類に与えたと考えています。

彼は精神的な豊かさや安寧こそが人類にとって重要であると考えており、現代文明はそれを忘れ去ったと絶望しているのです。

この絶望は非常に深く、最早取り返しがつかないと彼は考えています。

この絶望は単に抽象的な観念だけではなく、人と人がわかり合えず諍いが絶えない日常を生む人類の精神性の貧しさにもいきつくのです。

自己の人生に対する絶望

book

アレクサンデルは自分自身の人生を失敗したと考えています。

世間的には著名な舞台俳優として、また歴史や美学に造詣のある知識人として高い評価を受けていますが、自分自身は満足していません。

彼は最早「言葉」そのものにも価値を見いだせなくなっています。語ることの無意味さを感じているのです。

妻には成功しつつあった役者を続けて欲しかったと責められつつも、彼自分自身は偽りの舞台を続けることに耐えられなくなっていました。

自分自身のこれまでの人生に見切りをつけようとしているのはアレクサンデルだけではありません。

友人の医者ヴィクトルもまた、これまでの人生を捨てオーストラリアに移住しようとしているのです。

アレクサンデルが犠牲にしたもの

神

やがてアレクサンデルは自分自身を含めて人類全体の救済を神に求めることになります。

核戦争の危機というハルマゲドンが迫る中、それした道は残されていないと考えたのでしょう。