彼なら、世が明けるまでうまく隠れていられたはずですが、妻を助けに向かいます。
彼自身も自分の命を投げ出しても妻を救いたい、という強い意志を持った強い男性です。
夫婦愛とは、強い人間同士でこそ果たせるものだと、思い知らされました。
この物語は究極の条件下での人間の振る舞いが問われていたわけですが、日常の生活にも多かれ少なかれ、選択を問われることの連続です。
自分以外のものを守り大切にする意思が強い人は迷いません。
愛し抜くということは、自分自身の強さの指標であるということを学びました。
強くないと楽しめないし、愛せない、守れないということをこのストーリーが教えてくれているようです。
ウィットに富んだ楽しい人生
楽しさは場所を選ばない
雨に濡れようが、ホテルの調理師が帰ってしまおうが、収容所の中であろうが、置かれた状況で最善を選ぶことができるのがグイドです。
どんな状況の中でも幸せを見つけられる人であり、人にもそうあってほしいと願っています。
特に息子には、怖い思いをしてほしくない、トラウマを背負って暗い人生を送ってもらいたくなかったのです。
ジョズエは、収容所の中でゲームをして勝利した記憶を持って育つことになります。
父から息子への、なんて素晴らしい贈り物なのでしょう。
人を巻き込み奇跡を呼ぶ
笑いは、人の気持ちを動かすのに最も強力な感情だと思わざるを得ません。
恐怖に支配されることなく、ゲームのように楽しんで明るく乗り越えれば、最後に戦車が迎えにきました。
困難に立ち向かうには、恐れないでその中に楽しみを見出して、最後の明るいゴールを目指して楽しんでいけと、父は息子に教えているようです。
諦めなければ、人生には奇跡が起こる、人生は美しいものなのです。
ユダヤ人の友達がいないと困るから
軍医が、収容所でグイドに投げかけたクイズの答えは、劇中では具体的には出てきませんでした。
けれど、その問いそのものが何を言いたいかを物語っているのではないでしょうか。
多様化を目指すのは自分のためでもある
軍医の悲しげな表情や悲痛な物言いから、収容所に入ってしまったグイドの不在を嘆いているのが見て取れました。
その言葉通り、答えがわからなくて夜も眠れなくて困っているのではなく、それを相談できないのが辛いと言っているのです。
あなた方にいて欲しいというのが答え
一緒に謎解きをし、楽しい会話のキャッチボールをする友人を亡くしたくないというのが、軍医の真意ではないでしょうか。
様々な人種や考え方の人がいるからこそ、生活に彩りと楽しみが増えるのだと価値の多様化が広がる世の中に、大切なことを教えてくれています。
世界各地では、現在でも富や権力を奪い合い、力の差が出たら、また力で押さえつけてということの連続です。
その延長に虐殺や戦争があり、それこそが人類の損失です。
価値観の多様化した社会で、お互いの得意を持ち寄って知恵を出し合い豊かな社会にすることが希望になります。
偏見や人種差別に基づくのではなく、人としての信念に基づいて行動する大切さも再確認させられました。