真と琴莉の関係は幼馴染で、父親同士が同じ会社ということで幼い頃から2人は深く関わっていたのでしょう。
真は母親を突然死で亡くしたことで心を閉ざしていましたし、他人とうまく関わることができなくなってしまったのです。
しかし、幼馴染である琴莉にのみ心を開いており、心の拠り所となっていたわけです。
作中でもそのことがわかるシーンが描かれていました。
母親を失ったときも父親を失ったときも、琴莉がいたからこそ前を向いて進んで行けた。
引用元:あした世界が終わるとしても 配給会社:松竹メディア事業部
こう語るのは真自身です。
琴莉がいない世界なんて生きている意味が無い、とまで考えているような雰囲気ですね。
しかし、琴莉の諦めないでという言葉に真の心が動かされていきます。
琴莉がいなくなってしまったことで憔悴しきっていた真を一瞬で変えるほど、琴莉の存在は大きなものだと伝わってきます。
本当に大切な存在だと気付いた真
告白されて困っている琴莉を助けたり、琴莉をデートに誘ったりと、真が琴莉に好意を寄せている姿が作品の冒頭から描かれていました。
元々琴莉のことを大切に思っていた真ですが、琴莉を失ったことによってどれほど助けられていたかに気づいていくのです。
自分にとって琴莉がどんなに大切な存在だったのかを、再確認している様子が感じ取れます。
琴莉がいなくなってしまっても、日本は元々琴莉がいた世界。
琴莉との思い出が詰まった日本という世界を守ろうとする真の姿に強い愛情がこもっています。
そして、肉体保存されている琴莉のことを想いながら、最後の戦闘に挑んでいくのです。
冒頭の告白を試みたシーンではどこか弱々しい物言いでしたが、最後の告白シーンではどっしりと構えて迷いのない言葉で次のように伝えていました。
君のことが好きだ。
引用元:あした世界が終わるとしても 配給会社:松竹メディア事業部
この重みのある一言は、真は一回り大人になったうえに、琴莉への愛情がより強くなったことを意味しているのではないでしょうか。
失ったことで琴莉への気持ちを改めて感じ、自分でも迷いなく告白をすることができたのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ただの青春映画と思って観始めると、いい意味で期待を裏切る斬新で壮大なストーリーに引き込まれてしまう【あした世界が終わるとしても】。
2つの世界で出会った人達との絆からは、誰かを本当に大切に想うという気持ちが見えてきました。
大切な娘を愛しく思うあまり肉体保存をして蘇らせることに希望を抱いた父の気持ちも、切ないくらいに伝わってくる物語です。
次元を超越したゆるぎない愛をこの作品からは感じ取ることができますね。
奥が深いストーリーはきっと何度も見返すことで、登場人物それぞれの感情に寄り添うことができるのではないでしょうか。