それらの記憶は彼らの行動に反映され、化学実験における行動に影響を与えてしまうかもしれません。
より確実な結果を求める為に、余分な記憶を消したとも考察出来ます。
CUBEの秘密を知る為とは考えにくい
普通に考えれば実験の秘密がばれないように、記憶を消したと取ることが出来ます。
しかしいわばキューブは人を消す施設であり、キューブに入れ実験結果を収集した後はほぼ確実に命を落とすでしょう。
外へ出られない彼らに口封じをする理由はありません。
実際、制作者であるワースがキューブに入れられたことを考えると、口封じ=キューブに入れるという方程式が成り立つのです。
ラストが物語る意味
ラストシーンはかなり衝撃的ですが、なぜカザンだけ生き残ったのでしょう。
カザンはウィンだから
実は本作『CUBE』はシリーズ一作目ですが、時系列的には「CUBE ZERO」の続編になっています。
「CUBE ZERO」に登場し生き残ったウィンは、キューブの監視員という役職です。
彼は精神を病んでしまいましたが無意識に内部を熟知していたのでしょう、彼が生き残ったのは偶然ではありません。
カザンは本作でキューブ2度目の脱出を果たしていたのです。
おそらくまた記憶を上書きされて、キューブに入れられるのではないでしょうか。
難しい数字は意味のない存在
劇中には脱出の為に、3桁の数字の因数など難解な数字が登場します。
この数式たちは観る者が簡単に理解出来るとは思えません、おそらく分からない=脱出出来ないという恐怖を体験させるものでしょう。
同じように各部屋に仕掛けられた罠も観客の恐怖をあおりますが、実際に劇中に罠で死んだのは一人だけです。
ラストシーンも罠ではなく、人の意思によってクエンティンは殺されます。
人間の変貌ぶりや狂気を目の当たりにするラストシーンではないでしょうか。
密室で怖いのは食料不足でも罠でもなく、人の狂気なのかもしれません。
「わからない」新感覚恐怖を味わう映画
本作『CUBE』は謎多き映画です。
続編を観ないとその謎は解けず、一言でいえばわからない映画といえるでしょう。
しかしそのわからないという手探り状態が、恐怖をどんどん膨らませていくのではないでしょうか。
キューブに閉じ込められた人々も意味が理解出来ていないからこそ、恐怖を感じ極限状態に追い込まれたのです。
『CUBE』は何度観ても、張り詰めた恐怖を感じることが出来る傑作といえるでしょう。