出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0733B8JQP/?tag=cinema-notes-22
「バーフバリ 王の凱旋」をご覧になった方ならあの興奮がどれだけのものか理解できるでしょう。
インドの地からやってきたこの作品はかつてないほどのスケールをもって観客を圧倒させてくれました。
なんと日本では「大絶叫上映会」なるものが開催されたほど。
会場は「バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!」とバーフバリコールであふれかえったであろうことが容易に想像できます。
ここでは暴君バラーラデーヴァが偉大なマヒシュマティ王国を継ぐことになった本当の理由について徹底的に考察します。
大国マヒシュマティ王国に暴君が君臨した理由とは
王不在の大国を背負って立つ国母シヴァガミ。
彼女とアマレンドラ・バーフバリが愛したデーヴァセーナの確執が国の乱れを招きます。
なぜそうならなければならなかったのか、それをここでは読み解きます。
シヴァガミの悲哀
シヴァガミの威信は計り知れないものがあり、誰もが跪くほどの偉大な女性のように描かれています。
それゆえ弱みや迷いを人前に出すことはできませんでしたし、許されてもいませんでした。
デーヴァセーナの結婚のくだりでは、大勢の家臣の前でアマレンドラ・バーフバリに「母上の誤りだ」と指摘されます。
賢く聡明なシヴァガミですから、完全に自分が正しいと思っていたわけではないはずです。
しかし後戻りできないシヴァガミは、自分が発した言葉の責任をとる他方法が無かったのでしょう。
誇りを守ったデーヴァセーナ
シヴァガミを人前で批判したデーヴァセーナ。
小国は大国に従えといわんばかりに勝手に結婚を決めようとするシヴァガミに怒りをぶつけるのも理解できます。
結果として個人レベルのイザコザではなく、国の面子を賭けた勝負になってしまいました。
そしてデーヴァセーナの味方をしたアマレンドラ・バーフバリは小国の味方をしたも同然です。
シヴァガミの教え「常に正しいことをせよ」を実行したと彼は考えていました。
ですが「正しいこと」は人や立場によって変わってきます。
アマレンドラ・バーフバリとデーヴァセーナにとっては正しいことでした。
ではシヴァガミにとってはどうだったのでしょうか。
お互いの意見のすり合わせなかったのが、最大の過ちだったと推測できます。
家臣の前で侮辱を受けた国母シヴァガミ
シヴァガミが守らなければならないものは自分の面子だけではありません。
国母を小国の姫に侮辱された家臣たちの感情もあるでしょう。
下手をしたらデーヴァセーナ妃の見方をしたアマレンドラ・バーフバリにも家臣たちが反感を抱く可能性もあります。
自分の感情だけで行動する人物に国母は務まりません。あらゆる可能性を視野に入れて判断を下す必要があるのです。
アマレンドラ・バーフバリを次期国王の座から外すことを宣言したシヴァガミ。
この時の彼女の姿には王者の悲哀が色濃く描かれていました。
その鮮烈な生き方、その存在感はやはりこの映画の大きな魅力のひとつであるといえるでしょう。
国母シヴァガミの清廉さ
「デーヴァセーナをバラーラデーヴァの妻にする」ことを宣誓したシヴァガミ。
宣誓を守ることに重きを置くマヒシュマティ王国で、国母自らが宣誓を破るような行いはできません。
シヴァガミのジレンマ
「勘違いだから仕方ない」として自らの宣誓とは別の次元で裁くこともできたはずです。
実際カッタッパは自分の勘違いがすべての問題である、と問題の責任を自身に置くことで問題の解決を図ろうとします。