この作品を、違った視点から観ることができるかもしれませんね。
ノアの方舟との関連性とは?
本作品は、ノアの方舟を一つの題材として扱っている可能性が高く、随所で人類への警告とも受け取れるメッセージが確認できます。
それが描かれている最も分かりやすいシーンはなんといっても大洪水のシーンです。
虫型マシンは人類を洗い流す大洪水そのもの
旧約聖書の『創世記』(6章-9章)に登場する、大洪水にまつわる、ノアの方舟物語の事。または、その物語中の主人公ノアとその家族、多種の動物を乗せた方舟自体を指す。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ノアの方舟
古代では嵐は神々の怒りと考えられており、本作品でも現代の異常気象を”神々の怒り”として扱った可能性は非常に高いでしょう。
ノアの方舟ではその怒りとして大洪水が押し寄せくるワケですが、劇中でも波打ちながら人類に襲いかかる虫型ナノマシンは、大洪水そのものです。
つまりこのシーンは、ノアの方舟という誰もが知っているであろう神話を引き合いにした、人類への警告であると考えられます。
地球外生命体が乗せたのは人類以外の生物
地球に飛来した球体は、人類以外の生物を乗せていきます。それはまるで大洪水に備えて避難させるかの様に。
地球外生命体にとって、自らがノアであり球体は方舟なのです。
方舟に乗り込めるのは、地球にとって概ではない生物であり、人類はその正反対の存在であると描かれています。
また、劇中では、国防長官のセリフでも”方舟”と登場するため、本作品がノアの方舟と関連があることは間違いないでしょう。
本作品は地球環境保護を訴えているのか?
クラトゥの目的は人類の滅亡であり、その理由は地球を保護するためです。
これは現代に対しての強いメッセージが込められていると考えられます。
観る者への地球環境保護の啓蒙
異常気象が頻繁に報道される様になった2000年代初期、地球温暖化現象や海水気温上昇、森林破壊などがクローズアップされてきました。
さらに北極圏の氷の融解など、多くの方が地球環境問題を目にしたかと思います。
そんな環境問題が深刻な状況になっていることを訴えたいのではないでしょうか。
普段の生活で地球環境問題という大きなテーマを実感することは少ないかもしれません。
大災害を経験したり、環境問題が顕著な場所で暮らしていれば実感することは殆どないでしょう。
そんな人類に対する啓蒙作品として、本作品は機能することは劇中に隠されたメッセージからも明白です。
人類が協力し合うことが環境問題を解決する唯一の方法
地球環境というのは1人が問題解決に取り組んだからといって、どうにかなるものではないです。
つまりは、全人類として環境問題解決に取り組む必要があるのですが、それには協力し合うことが欠かせません。
これは、環境問題だけに限らず戦争の終結や難民問題の解決にも当てはまることです。
ヘレンの様に他人を思いやり、自分から積極的に諦めずにアクションを起こしていくべきだというメッセージも込められているのかもしれません。
【地球が静止する日】の真の意味とは?
ここまで考察してみると、タイトルの真の意味とは”人類が滅亡し地球に平和が訪れる”という風に解釈できるかもしれません。
嵐の前の静けではなくて、嵐の後の静けさとでも云う様に。
大洪水によって地球にとって害のある人類が洗い流されるからこそ、地球は静けさを取り戻すと解釈できます。
しかし、これでは悲観的だし人類にとっての問題を訴えるメッセージ性の強い作品とは呼べません。
なので、楽観的に解釈するならば”人類が互いを尊重し助け合うことで地球に平和が訪れる”。
これこそがタイトルの真の意味であり、人類が受け入れるべきメッセージなのではないでしょうか。
まとめ
ここまで「地球が静止する日」についてそのタイトルの真意やジェイコブの役割など考察してきました。
現代で問題視されている環境問題のその先を想像させる作品でもあったのです。
私たち人類が「地球が静止する日」を見ることになるのか、それとも今からできることを行動に移すのか…。
そんなことを考えさせてくれる、メッセージ性の強い作品といえるでしょう。
あなたは、この作品から何を感じ取りましたか?