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私たちにとっての大切なものとは一体何なのか。
その問いについての深い示唆を提示している話題のアニメ映画が「フラグタイム」です。
監督は「あさがおと加瀬さん。」でお馴染みの佐藤卓也さんで、岩井田洋さんの巧みな色彩演出にも注目が集まる今作品。
森谷美鈴と村上遥だけが過ごす3分間の変化と、なぜ美鈴の能力が弱まってしまったのか。
その問いに対し、2人の少女の青春は何を見つけたのか。
今回はこれらの深いテーマについて考察してみます。
話題の映画、フラグタイム
フラグの意味
「フラグ」とは、予測や伏線のことです。
元々プラグラミング用語から転用したもので「エンディングに至るまでの条件を記録する」という意味から、条件そのものを指すようになりました。
例えば「フラグが立つ」などは何かをするための条件が揃ったということですし、「フラグ回収」といえば、伏線を回収することです。
フラグタイムの意味こそがポイント
さて、では「フラグタイム」とは何なのか。
その意味にこそ、この作品の主題があると思っています。
伏線となる時間、条件を満たした時間…。
お気づきのように、これもこの記事の結論へのフラグというやつです。
フラグタイムはただの百合作品ではない
百合とは、女の子同士の恋愛のことです。
この作品も、美鈴が遥のスカートをめくって下着をのぞくシーンに始まり、キスシーンなど立派な百合作品であるといえます。
そればかりが取り上げられ、2人の女子高生の恋愛シーンと共に主人公美鈴の成長を描くありがちな作品に見られてしまいがちです。
しかしこの作品には、もう少し深いメッセージが込められているのです。
対照的な2人
2人の対照性がポイント!
百合作品というと、ボーイッシュな女の子と天然系の女の子が恋に落ちるとかいうのがよくあります。
この映画の面白さの1つは、「どちらも可愛い女子高生であるけれど、生き方が全く対照的である」というところにあります。
ではそれぞれ見ていきましょう。
美鈴という生き方
美鈴は、人と接するのが苦手で人に何か話しかけてこられるということが苦痛である人です。
そんな彼女には、時間を3分間止められるという能力がありました。
その力を使って、何やかやと人間関係のしがらみから逃げてきたわけです。
そう、他者と関わらないことで自分を守るという生き方です。
他者を徹底的に避けることで彼女は「社会の中の自分」を失っていました。
遥という生き方
遥は、誰とでも関わりを持ちその人当たりの良さゆえみんなから好かれるような人間です。