怒号をあげた時の遥、最後2人で本音をぶつけ合っていた時の遥です。
2人にとってのフラグタイムとは
フラグの説明は、冒頭の通りです。何かがエンドロールに行くための条件のことですね。
フラグタイムすなわち美鈴と遥の2人だけの秘密の時間はどういうことかを解釈すると次のようになります。
「2人ともが他者との関わりから離れる時間を必要としていた」という条件のもとに生まれていた時間。
どちらも、社会から離れることが必要でした。
だからこそ、その条件を満たさなくなっていった、つまり美鈴が小林のために能力を使った時に、その能力が弱まっていったのです。
2人にとっての3分間の変化
恋の動機→愛の障害へ
最初、2人にとって3分間はお互いにとって条件を満たし、2人の恋のきっかけを作る秘密の時間でした。
何か秘密を共有するということは、恋の掟みたいなものです。
しかし、最後にはその秘密の時間が2人の足かせになっていました。
それに気づいたのが美鈴だったのです。
この秘密を共有している限り、遥は変われないしずっと苦しいまま…。
そう思ったからこそ、大声で2人の秘密を告白したわけです。
本当の姿を曝け出す
この作品の主題は、やはり「真実の愛」というものでしょう。
真実の愛に勝る大切なものなどないということです。
最後の最後には、本当の姿でぶつかり合った美鈴と遥。
お互いの欠点を言い合って言い合って、最後には「好き」を伝えました。
愛というものは、そうやって本気でぶつかり合った間柄にしか生まれない関係のことではないでしょうか。
終わりに〜本当の自分とは〜
遥のような生き方をしてる人って、実は多いと思います。
他人に気に入られたいがばっかりに、自分が誰かわからなってしまう…。
他人の好きなものが自分の好きなものなっていたり、こうあるべきと思っているうちに人に気に入られることが指標になっていく…。
そうやって自分に嘘をつき続けて他人に気に入られるというのは、実は他人と関わるのが嫌になっていくというパラドックスなのです。
消えかけていた本当の遥にとっても、2人だけの時間は社会から逃れるために渇望されていたものと考えられます。
しかし、最後には現実で本当の姿になれたわけです。
こんなにも深いメッセージが盛り込まれている「フラグタイム」。