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『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は1995年に公開された日本の劇場用アニメ映画で、原作は士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』第一巻です。
本作は本格的にサイバー化した未来を描いており、続編も出ているためか憶測が憶測を呼ぶ事態となっています。
特に疑問として上がるのが、そもそも「ゴーストとは何なのか」「人形使いとは何なのか」といったもの。
本作の核となるキーワードなのに、映像として明確に映し出されることはありません。
人形使いのゴーストが残っていた義体も、人形使いの姿を映しているものではありませんでした。
姿が見えないもの、はっきりわからないものに人は興味を惹かれます。
ここでは、「ゴーストとは一体何なのか」「人形使いは果たして生命なのか」ということを考察します。
さらに、その謎と関連して考察すべき「素子はなぜ海に潜るのか」に言及すれば、より深く本作を理解できるはずです。
ガイア理論が分かれば『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が深く分かる
本作の謎を解く上で「ガイア理論」を理解しておく必要があります。なぜならガイア理論が本作の背景にあると考えられるからです。
では「ガイア理論」とは何なのか。ガイア理論はNASAに勤務していた大気学者兼科学者であったジェームズ・ラブロックが提唱した概念。
「地球とは何か」を考えたジェームズ・ラブロックはこのように地球を捉えています。
地球は一つの生命体
この理論は「ゴースト」「素子が海に潜る理由」「人形使いは生命か」を解き明かす上で、大元となる理論です。
ガイア理論を一言で説明すると「地球を巨大な一つの生命体」と考える理論になります。
地球上にはさまざまな生命が存在しますが、それはお互いに影響し合いながら存在しており、影響を与えていない生物は存在しません。
私たちの体の中でも小さな生物たちが互いに影響し合って、私たちの生命を作り上げています。だからこそ、地球も一つの生命体なのです。
生命体と考えたときに、地球には自己調節機能があるものと考えられます。
地球の自己調整能力
私たちが風邪をひいたとき、体の中ではウィルスや菌が増加し、それが白血球などの増加を招き、結局ウィルスや菌がなくなります。
片方に影響があれば、片方がそれを調節しようとする、この機能を自己調節機能といいます。
「地球を巨大な一つの生命体」として考えたときに、サイバー環境や人間、ゴーストなども互いに影響し合うもの、となるのです。
さらにサイバー空間では、ゴーストハックに代表されるように、物と物(この場合生命体も含む)を移動できます。
なぜ移動できるのかというと、「地球が一つの生命体」で影響し合っているから。
まずは、このガイア理論を理解した上で考察を進めます。
地球の海が素子を素子たらしめる
本作で素子が海に潜るシーン。そのシーンでは深い海に潜ったはずなのに、天地逆転が起きたかのように素子が水面に上がります。
鏡のようにきれいに映る水面が現れて素子を映し出し、その鏡の素子と一体化する、という意味が深そうな映像です。
深い意味があるようですが、理解が難しいシーン。しかし船に上がった素子の発言からその謎を解き明かすヒントが見えてきます。
地球の海は広大なもの
地球が一つの生命体ならば、海もサイバー空間も地球の一部と考えられます。
地球の7割は海。その広さは果てしなく、深い様子はサイバー空間そのものです。