注目キーワード
  1. 映画
  2. シネマ
  3. 洋画
  4. 邦画

【GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊】ゴーストとは何か考察!素子は何故海に潜る?人形使いは果たして生命か

SF

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00005EDM8/cinema-notes-22

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は1995年に公開された日本の劇場用アニメ映画で、原作は士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』第一巻です。

本作は本格的にサイバー化した未来を描いており、続編も出ているためか憶測が憶測を呼ぶ事態となっています。

特に疑問として上がるのが、そもそも「ゴーストとは何なのか」「人形使いとは何なのか」といったもの。

本作の核となるキーワードなのに、映像として明確に映し出されることはありません。

人形使いのゴーストが残っていた義体も、人形使いの姿を映しているものではありませんでした。

姿が見えないもの、はっきりわからないものに人は興味を惹かれます。

ここでは、「ゴーストとは一体何なのか」「人形使いは果たして生命なのか」ということを考察します。

さらに、その謎と関連して考察すべき「素子はなぜ海に潜るのか」に言及すれば、より深く本作を理解できるはずです。

ガイア理論が分かれば『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が深く分かる

本作の謎を解く上で「ガイア理論」を理解しておく必要があります。なぜならガイア理論が本作の背景にあると考えられるからです。

では「ガイア理論」とは何なのか。ガイア理論はNASAに勤務していた大気学者兼科学者であったジェームズ・ラブロックが提唱した概念。

「地球とは何か」を考えたジェームズ・ラブロックはこのように地球を捉えています。

地球は一つの生命体

​GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (セル版) (映像特典付)

この理論は「ゴースト」「素子が海に潜る理由」「人形使いは生命か」を解き明かす上で、大元となる理論です。

ガイア理論を一言で説明すると「地球を巨大な一つの生命体」と考える理論になります。

地球上にはさまざまな生命が存在しますが、それはお互いに影響し合いながら存在しており、影響を与えていない生物は存在しません。

私たちの体の中でも小さな生物たちが互いに影響し合って、私たちの生命を作り上げています。だからこそ、地球も一つの生命体なのです。

生命体と考えたときに、地球には自己調節機能があるものと考えられます。

地球の自己調整能力

​衛星写真を元に作られたリアルな地球風船 40㎝ (16インチ) 蓄光塗料付き 教材にも使えます EarthBall [並行輸入品]

私たちが風邪をひいたとき、体の中ではウィルスや菌が増加し、それが白血球などの増加を招き、結局ウィルスや菌がなくなります。

片方に影響があれば、片方がそれを調節しようとする、この機能を自己調節機能といいます。

「地球を巨大な一つの生命体」として考えたときに、サイバー環境や人間、ゴーストなども互いに影響し合うもの、となるのです。

さらにサイバー空間では、ゴーストハックに代表されるように、物と物(この場合生命体も含む)を移動できます。

なぜ移動できるのかというと、「地球が一つの生命体」で影響し合っているから。

まずは、このガイア理論を理解した上で考察を進めます。

地球の海が素子を素子たらしめる

本作で素子が海に潜るシーン。そのシーンでは深い海に潜ったはずなのに、天地逆転が起きたかのように素子が水面に上がります。

鏡のようにきれいに映る水面が現れて素子を映し出し、その鏡の素子と一体化する、という意味が深そうな映像です。

深い意味があるようですが、理解が難しいシーン。しかし船に上がった素子の発言からその謎を解き明かすヒントが見えてきます。

地球の海は広大なもの

​igsticker ポスター ウォールステッカー シール式ステッカー 飾り 728×1030㎜ B1 写真 フォト 壁 インテリア おしゃれ 剥がせる wall sticker poster 014561 海 深海 写真

地球が一つの生命体ならば、海もサイバー空間も地球の一部と考えられます。

地球の7割は海。その広さは果てしなく、深い様子はサイバー空間そのものです。

劇中で素子は暗い夜の海にダイブします。その理由を問われた際に次のように答えます。

全部電脳と義体にすれば、可能なことはすべて実現する人間の本能みたいなもの

引用:GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊/配給会社:松竹

つまり、電脳と義体だけで人間をの本能を再現できるということです。海は地球の7割を占めており、まさに地球の入り口といえます。

地球の入り口に潜ることで「巨大な生命体の地球」にアクセスでき、さらに地球上のすべてにつながることができるのです。

草薙素子を草薙素子たらしめる

​igsticker ポスター ウォールステッカー シール式ステッカー 飾り 515×728㎜ B2 写真 フォト 壁 インテリア おしゃれ 剥がせる wall sticker poster 002834 写真・風景 海 写真

では、地球にアクセスすることでどのような効果があるのでしょうか。これは先ほどの海に潜る理由を問われたときの発言からも見て取れます。

自分が自分であるため、人間であるためには数多くの部品が必要

引用:GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊/配給会社:松竹

本作では、さまざまな人間が存在しており、完全に生まれたままの姿の人間もいれば、義体を使ってサイボーグになっている人間もいます。

素子は完璧なサイボーグ人間。サイボーグ人間が人間であるためには、数多くの部品が必要なのです。

サイバー化しているこの時代、脳ひとつあれば人間と捉えられ、その脳がサイバー世界にアクセスし、情報を収集することができます。

素子は人一倍サイバー空間へアクセスする感覚が強く「ゴーストの囁き」が聞こえるほどの人間です。

地球にアクセスをすることで、草薙素子を草薙素子たらしめるための情報を収集・整理しているのではないでしょうか。

「自分」が確立すれば、「他」を確立できる。つまりゴーストの誕生

​Ghost in The Shell

自分が自分と意識できるから他が明確になります。素子にとって海に潜ることは、「自分の意識」を確立するための方法なのです。

こちらも海に浮かぶ船上で、潜ることの意味を語るシーン。

他人と違う顔、意識しない声、目覚めの時に見る掌、幼かったころの記憶、電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がりそのすべてが「私」という意識そのものをうみだし、そして「私を」ある限界に制限する

引用:GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊/配給会社:松竹

こちらでも、電脳でアクセスする情報が「私」という意識をうみだすものとして重要であることが語られます。

その結果「限界に制限」、つまり他が確立するのです。この他に当たる部分・境界が「ゴースト」であり、意識そのものになります。

「ゴーストの囁き」が聞こえる素子は、この境界が曖昧になることがあるからこそ、他のゴーストの情報が電脳に流れてくるのでしょう。

そして曖昧さをなくすためには、海に潜り地球にアクセスし、情報を整理して自分のゴーストを明確にする必要があるのです。

海の中で水面に映る素子は人形使いとの融合を示唆

​スキューバダイビングのダイブプラナー lite

地球にアクセスするということは、サイバー空間ともつながることです。

劇中で海に潜っている間、水面に素子が映し出されます。

その後、素子同士が重なり合うのですが、それはサイバー空間では「他者同士が一つになれること」を示唆しています。

さらに素子の場合、その「他者」とは人形使いであることを暗示していたのです。

ラストのシーンでは、素子は人形使いと融合し広大なネットの世界へと旅立ちます。広大なネットの世界は広大な海を思わせるもの。

つまり海に潜るシーンで、素子が水面に映って素子と融合するのは、映画のラストを示すシーンを示すものだったのです。

「ゴースト」の元はデカルトの二元論?精神と肉体は別物

「我思う、故に我あり」で有名なデカルトは17世紀に活躍した哲学者で、二元論(心身二元論、心身問題)を提唱した人物です。

様々な指摘はありますが、一言で説明すると「精神と肉体は別のものであり、肉体という箱に精神が収まって指令を出している」ということです。

本作の「ゴースト」を考える上で、この二元論はぴったりと当てはまります。

ゴーストは自分の精神と最も外側にある境界線を含めたもの

​方法序説 哲学文庫 Kindle版

二元論では精神と肉体は別物とされ、精神=「私」の意識そのもの。本作では義体を装着している人も「人間」です。

頭部を義体化する際には、脳を金属のシェルに入れて「脳核」とし、脳核を他の義体に入れ替えても「自分」を意識することができます。

まさにデカルトが唱える二元論と同じ考え方です。一つ違う点は電脳に入れられたゴーストが他者から攻撃を受けたとき、反撃機能があること。

反撃をするということは、相手の攻撃に対して「反撃に出よう」とする境界線が必要です。

つまり自分の精神(無意識・意識・自我)とその境界線を含めた総称を「ゴースト」と捉えることができます。

ゴーストは移動が可能

​GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (レンタル版)

ゴーストは移動が可能です。それは作中に出てくるゴーストハックからも証明されています。

ゴーストハックをするために、自身のゴーストが相手のゴーストをハッキングするまでの道のりが必要。その道のりはサイバー空間です。

サイバー空間を使うことができれば、ゴーストを移動させられます。

つまりサイバー空間が地球という一つの生命体の一部と考えれば、ゴーストは地球上のあらゆる人間にアクセスが可能ということになります。

だからこそ、デカルトの「精神と肉体は別物」の二元論が当てはまるのです。

生命の定義に照らしたときの「人形使い」

​写真 | ブルグリーン庭園の景色 彫刻の庭の広範な複合 生態系の小道、野生動物の貯蔵と小さな動物園 マレルズインレット2の4つ前のライスプランテーションに 20in x 16in H44173_2016_HSM1

続いて「人形使いは果たして生命か」の謎に迫ります。作中で人形使いは自身が生命体であることを主張し、政治的亡命を要求しました。

しかし、それが認められなかったので人形使いのゴーストが入った義体は、6課からの抹殺を避けるため逃亡を図ります。

生命には様々な定義がありますが、大きく「自身を維持しつつ自身と同じもの、あるいは自身に似ているものを作り出すもの」と定義しましょう。

これを定義としたときに、人形使いはどう捉えるべきでしょうか。

「人形使い」は果たして生命か

人形使いはもとは6課が外交戦略のために作り出したAIです。AIが自我を持つようになって、制御不能と判断した6課はAIの抹殺を図りました。

ではその自我はどこから生まれたのかというと、人形使いは自身が「情報の海」から発生したものと語ります。

生命の定義で考えると、この一連の出来事により人形使いを「生命」と捉えることが可能です。

なぜなら情報が「人形使い」というデータ・情報を作り出したからです。人形使いはゴーストを持ち、自身と他者を区別することができます。

義体や肉体の意味がない作中の時代に、ゴーストを持っている人形使いの存在は生命と言わざるを得ません。

完全な生命を目指す

​聖なる光

人形使いはまだ生命として完全体であるとは思っていません。その理由は「子孫を残す機能がない」「死がない」からです。

これらの課題を解決するために選んだのが「素子との融合」です。

結果的に素子との融合は完成し、子孫を残す機能や死、さらには感情を持つ新しい生命体が誕生しました。

そして新生命は、人形使いから見たときの生まれ故郷であるサイバー世界へと旅立ちます。

生命の定義から考えると、まさに「完全な生命」としか表現の仕様がありません。

そもそも人形使いを生み出したのは地球

​レモンツリーART 宇宙 地球 ポスター 壁写真 衛星写真 自然 風景画 地球 星空 銀河 インテリア装飾品 壁飾り 壁掛け絵画 部屋飾り、新築お祝いに最適(90x60cmx1枚)ガイア理論に説明される地球の自己調節機能により、人形使いは生み出されました。人形使いの箱・義体となるのは6課が作り出したAIです。

もともと人間は地球という生命体の一部なのですが、自身の手でさまざまなものを作り出し、増加します。

これは地球から見たときの「ウィルスや菌」にあたるもの。

地球はそれらを減らすために、自己調節機能を働かせて人形使いというゴーストを生み出し、AIに乗り移らせたのです。

さらに、人形使いのゴーストが残る義体が6課からの逃亡を図ったとき、向かった先は海でした。

これは自身を生み出した地球に戻るための入り口が海であることを示しています。つまり、人形使いは地球の代理生命体であるということです。

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』という作品に込められたメッセージ

​攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 1st & 2nd GIG コンプリート DVD-BOX (全52話) Ghost in the Shell アニメ [Import] [DVD] [PAL, 再生環境をご確認ください]

地球が一つの生命体であると考えたとき、素子が海に潜る理由、ゴーストという存在、人形使いを生命体とするかが説明できます。

現代社会は少しずつ『GHOST IN THE SHELL』の環境に近づいており、決して遠い未来ではありません。

しかし、その危険さについては十分な検証がされていません。だからこそ、さまざまな角度から未来を予測する必要があります。

本作はそのようなメッセージが込められているのかもしれません。