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『グラン・トリノ』は2008年に公開され、大反響を巻き起こした映画です。
退役軍人の葛藤に焦点を当て、違った角度から戦争を描いていました。
タイトル『グラン・トリノ』が象徴するものは何なのか徹底考察し、本作を読み解くカギを見つけ出します。
更にウォルトの決断や彼の計算高さが光るラストシーンを詳しく紐解いていきましょう。
タイトルが示す「グラン・トリノ」
本作のタイトルにもなっている「グラン・トリノ」は、フォード・モーター社の車です。
なぜ名車の名前がタイトルにつけられているのでしょうか。
栄光のアメリカを象徴する愛車
「グラン・トリノ」は世界へと名車を送り出しているフォード・モーター社の車です。
アメリカが世界中にその力を示し、世界経済の先頭を突き進んでいた時代の象徴ともいえるものです。
劇中には1972年型のフォード・グラン・トリノが登場しており、ウォルトの愛車として存在を光らせていました。
愛車「グラン・トリノ」が結ぶ縁
ウォルトの愛車は、彼とタオを結ぶ重要な役割を果たしていました。
劇中ではウォルトの相棒であり、大切な家族のようでもあります。
そして彼は典型的なアメリカ人として描かれており、自分の財産を何よりも大切にする姿が印象的です。
自らが築き上げてきたものを守り、当然のことながら自分で手にした愛車をとても大切にしています。
本作はキャッチコピーにもあるようにウォルトの人生のしめくくり方が描かれていました。
人生の最後まで彼の側に寄り添った「グラン・トリノ」は彼の人生を語る存在なのでしょう。
「グラン・トリノ」の譲渡
最後に私が所有する72年型グラン・トリノは、我が友人タオ・ヴァン・ローに譲渡する
引用:グラン・トリノ/配給会社:ワーナー・ブラザース
ウォルトの遺書には、愛車である「グラン・トリノ」をタオに譲るという旨の記載がありました。
このセリフこそ、ウォルトの人生のしめくくりを示すものではないでしょうか。
ウィルトの大切な財産である愛車を譲渡するのは、大きな意味を含んでいます。
彼にとってタオが「グラン・トリノ」と同じくらい大切な存在になった証です。
晩年、孤独を感じていたウォルトは真の友達に愛車を託すことが出来て幸せだったのではないでしょうか。
タイトルに掲げた「グラン・トリノ」は、ウォルトの心の流れを象徴するものなのです。
ウォルトの決断の真意
隣人を煙たがっていたウォルトが、自らの命を懸け復讐を決断したのはなぜでしょう。
タオの家族を自分の家族のように感じていた
ウォルトは口が悪く頑固な人物ですが、タオやスーの人間性に徐々に惹かれています。
タオやスー達に良き時代のアメリカの姿を観たのかもしれません。
また彼らが感謝の印に送る花や食べもの、家族を大切にする風習などに触れ、無意識のうちに孤独を癒されていたのでしょう。