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2007年公開の『アイ・アム・レジェンド』は、エンディングが2つある映画として話題になりました。
公開直前に書き換えられたエンディングは、真の怪物が何かを示す重要な手掛かりとなっています。
そして劇中に登場する蝶のモチーフは、書き換えられたエンディングに秘密が隠されていました。
ゾンビ映画として、映画界に大きな影響を与えた『アイ・アム・レジェンド』のその後も徹底考察していきます。
繰り返し登場する蝶モチーフの謎
劇中で印象に残る「蝶」のモチーフですが、たびたび登場する「蝶」には大きな意味が隠されています。
失った家族との「愛」の象徴
パパ、ほら チョウチョよ
引用:アイ・アム・レジェンド/配給会社:ワーナー・ブラザース
ウィル・スミス演じるネビルが、家族との思い出を回想するシーンのセリフです。
娘マーリーが手の平で蝶を形作る姿は、子供の無邪気さと家族の温かさを物語っています。
「蝶」というのは、ネビルにとって生前の家族のぬくもりを象徴するものといえるのではないでしょうか。
そして劇中でネビルの娘マーリーを演じたのは、ウィル・スミスの実娘ウィロー・スミスでした。
実の娘が出演することで、リアルな親子関係を感じることができます。
別バージョンでの蝶は「絆」の証
『アイ・アム・レジェンド』は公開直前にエンディングが差し替えられています。
実は差し替える前のエンディングでは、蝶のモチーフがとても重要な役割を果たしていました。
別バージョンではダーク・シーカーが家に押し入ったのは、仲間の女性を助ける為です。
その時にダーク・シーカーは、彼女の体に掘られた「蝶のタトゥ」を強化ガラスに描くのです。
聞こえたんだ
引用:アイ・アム・レジェンド/配給会社:ワーナー・ブラザース
ネビルがダーク・シーカーの心の声を聞いたというセリフが登場します。
この時「蝶」が登場することで、ネビルは自らの家族を思い出し、ダーク・シーカーの仲間を思う気持ちを感じ取ったのでしょう。
別バージョンでは、ダーク・シーカーの中に人間として残った心を示すモチーフとして蝶が登場していました。
公開バージョンでは蝶が勇気をくれた
公開バージョンのラストはネビルが死んでしまいましたが、彼に勇気を与えたのはダーク・シーカーによって蝶の形に割られたガラスです。
怯えていたネビルは蝶の形に割られたガラスを見て、家族を思い出し自らを犠牲にするという勇気をもらったのではないでしょうか。
劇中でアナとイーサンは、ネビルが失った妻や娘と重なる存在です。
彼らを守り、人類を守るというネビルの心に火をつけたのは、大切な家族との思い出である「蝶」だったのです。
蝶は復活や愛のシンボル
劇中でなぜ「蝶」がモチーフに使用されたのか……、キリスト教で蝶は復活を意味しているようです。
人類が絶望から復活することを示しているのではないでしょうか。
また蝶が愛や恋人との絆を意味する場所もあります。
別バージョンでダークシーカーのボス、アルファメイルが愛する彼女を助ける為「蝶」を描いていたのはその為でしょう。