劇中でサミィが「最近」見るという怖い夢…悪夢は、劇中盤でフラッシュバックのように挿入されるサミィの断片的なイメージ映像でしょう。
この「夢」ではいくつかの不可思議な描写が再生されています。
サミィのイメージに登場する芦森らしき女性の姿
劇冒頭で、芦森はサミィが潮月によってAIプログラム「CODE:LIFE」の実装がなされた置き土産であることが語られています。
関係職員宅で保護観察中…とのことで、これが主人公であるリクオ宅を指すのは明らかです。
しかし芦森はこの時点でリクオ宅にサミィが保護されていることは感知していません。
このイメージに芦森らしき人間が描写されていることはいかにも不可解です。
では、この女性はいったい誰なのでしょう。
実はこの場所はリクオ宅ではない?
イメージ映像からは、一見リクオの父と母が上司である芦森を部屋へ迎え入れているように見えます。
しかし、よく見ると劇中で描かれるリクオ宅とは間取りが異なるようです。
例えばここは住宅を模したアンドロイドの展示場、あるいは研究所に作られた実験施設。
そしてリクオたちはそこにサミィを自宅に招き入れるため視察に訪れた、と考えるのはどうでしょうか。
とするとリクオがチラシめいたものを持っていることに説明がつきますし、研究所であれば芦森が白衣をまとっていることにも納得ができます。
ただし、瀬戸口がいつも同じ服装であることから芦森も白衣を普段着代わりに着用する変わり者である、ということも否定はできませんが…。
芦森はサミィをリクオ宅に預けたことをすっかり忘れていた!?
そんなバカなと思われるでしょうが、可能性は十分です。
なにしろ芦森は自分がその手で「しばいて」破壊したサミィの行く末をまったく検知できていませんでした。
そもそも、前記の展示場・研究所案が正しかったとしても、その後自分で破壊したサミィを元の家族に戻した、とするのもまったくの不可解です。
天才的として描かれている潮月の助手、あるいはそれ以上のパートナーであろう芦森がある種の才能に秀でていることは間違いない。
が、それなりのうっかり者であることを否定できるものではありません。
あるいは、そのうっかり部分を潮月…あるいは瀬戸口にコントロールされている可能性も考えられます。
芦森はなぜサミィを攻撃したのか?
芦森を逆上させた潮月のプログラムとは?
サミィは芦森によって「code:LIFE」の実装実験中に強制停止されました。
しかし、この悪夢によるとこの強制停止は前述のとおり、謎の棒切れによる直接打撃でなされています。
この「棒切れ」が「トキサカ事件」で使われた対アンドロイド用の警棒である可能性は高いでしょう。
しかし、それにしても実験中のアンドロイドに直接打撃による強制停止をする、とは穏やかでありません。
実際にその周囲の研究員たちも顔をしかめています。
芦森が逆上したようにも見えるその様子から、潮月の「code:LIFE」には彼女の感情を逆なでするようなプログラム…。
潮月の嗜好や物語の伏線を考えると、ロボット三原則を迂回しながら自己の存在理由を証明するような行動。
たとえば何らかの「嘘」をついたことが考えられます。
サミィがその精緻な頭脳によってすでに解を得ている問題に対して、芦森をおもんばかって口にしなかった…。
そんな状況であれば、芦森が逆上するのも無理はないでしょう。
それにしても芦森が直接打撃で彼女を強制停止する理由にはならないはず。
コンプライアンス面から考えても彼女は組織の一員として失格の烙印を押されても無理はありません。
そもそもこの女性は芦森ではない!?
例えばこの女性が芦森でなく、潮月であればすべての説明がつきます。