出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B000HT2MPA/?tag=cinema-notes-22

スパイ映画のスタンダードを大きく塗り替え、俳優マット・デイモンの大出世作にもなった「ボーン」シリーズ。

その一作目となる「ボーン・アイデンティティ-」はロバート・ラドラム著「暗殺者」が原作です。

北米では何と興行成績でかの「ハリー・ポッターと秘密の部屋」を抑え初登場から二週連続で一位を記録しています。

そんな本作はタイトル通りジェイソン・ボーンというスパイの正体を巡る物語です。

物語が進む内に明らかとなるトレッドストーン作戦の失敗、そしてボーンが度々頭痛に襲われる理由とカプセルを埋め込んだ人の正体。

今回は謎の多いこれらのテーマについて考察していきます。

ジェイソン・ボーン、その人となり

「ボーン・アイデンティティー」を読み解く上で大前提として理解しなければならないのはジェイソン・ボーンの人物像です。

「ボーン」シリーズが従来のスパイ映画と趣を異にしているのはまず中心となる主人公像の抜本的な変化でした。

ここでは様々な角度からジェイソン・ボーンの人となりと彼を取り巻く背景を読み解いてみましょう。

内向性

内向性を強みにする方法: 内向的な人の才能を発揮する方法

ジェイソン・ボーンの大きな特徴は思考が読みにくい内向的な人物であるということです。

終始無表情で何を考えているのかも読みにくく、記憶喪失故に終盤まで輪郭の曖昧な人物として描かれています。

「007」のジェームズ・ボンドや「ミッション・インポッシブル」のイーサン・ハントと大きく違うのはここでしょう。

この二人は自らの正義感に絶対の自信を持ち、その人物像も明朗快活で誰にとっても分かりやすいものでした。

対してボーンはボンドやイーサンのような派手で外連味溢れる爽快なヒーロー像を敢えて避けているのではないしょうか。

ボンドやイーサンが「光」の正統派ヒーローとするなら、ボーンはその逆の「闇」に位置するダークヒーローといえます。

リアリズム重視のアクション

リアリズムと様式美―井川徳道の映画美術

ボーンの複雑なキャラクター性は人格面のみならずアクションにもしっかり反映されています。

カメラワークや編集でテンポ良く見せていますが、本作のアクションそのものは地味でより実戦に即したものになっています。

肉弾戦にしても射撃戦にしても、様式美に則った「見せる」アクションよりも「生き延びる」アクションという印象です。

カーアクションにしたって、動きはスピーディーですが、印象としては「地味さ」「無骨さ」の方が目立ちます。

しかし、こうしたリアリズム重視のアクションがかえってボーンの総合戦闘力の高さを示しているのです。

実戦に必要なのは無駄のないその場に応じた動き、疲労を最小限に抑えつつ効率よく戦う戦術眼にあることが窺えます。

理念なき戦い

日本の選択〈1〉理念なき外交「パリ講和会議」 (角川文庫)

ボーンの複雑なキャラクター性の最大の所以は「ボーン・アイデンティティー」の戦いが「理念なき戦い」だからです。

ボンドやイーサンとの違いは何よりここにあり、ジェイソン・ボーンには組織によるバックアップがありません。

ボーンは終盤まで自分が何者であるかも知らず、この戦いに正当性があるかどうかも分からないまま動くことになります。

組織による理念を与えられていない以上、目の前の現実に即した戦い方で一つ一つの困難をクリアしていくしかないのです。

それがまた本作全体にまとわりつく異様なまでに重苦しい空気へと繋がっているのではないでしょうか。

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