出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01HCOC75M/?tag=cinema-notes-22
特別なものはなくとも忘れていた大切なことを思いださせてくれるかもめ食堂。
小林聡美さん演じるサチエの手際のよい調理の仕方には多くの人が料理をしたい衝動に駆られました。
またキャッチコピーは「ハラゴシラエして歩くのだ」で知られています。
そして2007年には第28回ヨコハマ映画祭で第5位に選ばれていて老若男女問わず愛されているのです。
とはいえ女性3人のゆるい日常を描いた作品なのに観ているだけでこんなに癒されるのはどうしてなのでしょうか。
またリアリティを求めてかあまり説明描写がなく普通に観ているだけでは分からない部分もちらほらあります。
今回はそこに焦点を当てて考えていきましょう。
何故観ているだけで癒されるのか?
ヘルシンキの景色
白夜の差し込む窓辺や広大な森、鮮やかな商品が並ぶ市場などそれからおしゃれな港や街並み。
日本では目に掛かれない光景がたくさん出てきてどれも見ごたえがありどれも飽きない景観。
またかもめ食堂の内装もシンプルながら可愛いらしく水色と白を中心にした色遣いはレトロなカフェを彷彿とさせます。
視聴者はそんなヘルシンキの風景から感性を刺激されて普段の日常では味わえない旅行気分に浸れるのではないのでしょうか。
見慣れた定番の和食
見慣れないヘルシンキの景色が存在する一方最も見慣れている存在、和食が登場します。
そのお陰でガッツリ非日常という訳ではなく和食が登場することで親近感も抱きながら観ることができるのです。
そして定番の和食は無意識に家庭の味を思い起こし温かさを感じられます。
癒されるのは食事を通しての母性を感じられるからなのではないでしょうか。
サチエのマイペースな性格
マサコがかもめ食堂に来店した時サチエとマサコの間にこんなやりとりがありました。
マサコ「やりたいことをやっているのね」
サチエ「やりたくないことをやらないだけです」
引用:かもめ食堂/配給会社:メディアスーツ
かもめ食堂を経営するのはやりたくないことをやらないための手段の一つ…。
頭が固い人にとっては到底できない考え方でしょう。
またサチエは当初お客が全く来なかった頃、ミドリからこれから先のことを問われた時にも一時も不安の色を見せませんでした。
このシーンからサチエは楽観的な思想を持って生きていることが分かります。
まさにフィンランド人の特性に合った性格といえるでしょう。
硬派な考え方の多い日本人にはサチエの生き方に学ぶ点がたくさんあるに違いありません。
もっと肩の力を抜いて生きていいのだ、そんなメッセージがサチエを通して伝わります。
その部分が視聴者の癒しに繋がっているのではないでしょうか。