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ホラー風味のファンタジー映画の名手、ティム・バートンによる1994年公開の『エド・ウッド』。
実在した映画監督エド・ウッドが創作に奮闘する様を描いた全編モノクロの伝記映画です。
映画への情熱を胸に抱きつつ、生涯成功することはなかったエド・ウッド。
バートン監督はこの作品を、自分にとって「パーソナルな映画」であると語っています。
ちょっとキテレツでどこか切ない、エド・ウッドの物語に迫っていきましょう。
そもそもエド・ウッドとはどんな人物?
エド・ウッド、本名エドワード・デイビス・ウッド・Jr.。
1924年生まれのアメリカ出身の映画監督で、この作品のタイトル・ロールです。
情熱はあったものの…成功しなかった生涯
1953年、『グレンとグレンダ』でエド・ウッドは長編映画の監督としてデビューを果たします。
その後、『怪物の花嫁』や『死霊の盆踊り』など、数々のSF・ホラー映画を制作。
しかし、そのどれもが興行的には大失敗し、制作のための資金繰りには常に苦しんでいました。
最後は貧困にあえぎながら、アルコール中毒で死亡。
映画への熱い想いを持った人物でしたが、生涯のなかで作品が評価されることはありませんでした。
死後得た称号は、”史上最低”
きっかけは、ベラ・ルゴシの遺作となった『プラン9・フロム・アウタースペース』でした。
この作品の放映権が安く売りだされ、テレビの深夜枠で繰り返し放送されたことで徐々に人気を獲得。
更に『ゴールデン・ターキー・アワード』で“史上最低の映画”と評されたことで、注目度が上昇。
以来カルト的な支持を得て、彼の作品は今日でもファンから愛され続けています。
そして今作の監督ティム・バートンもエドの映画を愛するファンのひとりだったのです。
全編モノクロ映像の意図
バートン映画といえばファンタジックで毒のあるポップな世界観が人気。
例えば『シザー・ハンズ』やプロデューサーをつとめた『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』。
ダークな世界観とカラフルな色彩のアンバランスさが魅力的ですよね。
そんな中、この『エド・ウッド』はちょっと異色にも思える作品です。
全編モノクロである意図とは、いったい何でしょうか?
まるでタイムスリップ!ストーリーへの没入感
カラー映画が主体となったのは1970年代。
エドが映画製作をしていたのは40~60年代。まだまだモノクロ映画が珍しくなかった時代です。
また彼が憧れた作品たちも、モノクロで撮影されていたことが窺えます。
観客は白黒の映像を通すことで、そのままエドにとっての“映画”を体験することができるのです。
そのため、よりストーリやエドの映画への想いを深く追体験することができます。
古きものへの憧憬
また、この白黒映像にはエモーショナルな効果があると考えることができます。
モノクロ=昔のもの、というイメージがありませんか?