出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0787F2WZ8/?tag=cinema-notes-22
韓国のパク・チャヌク監督による復讐3部作の1つである『親切なクムジャさん』。
前2作とは異なり、イ・ヨンエが演じるクムジャという女性を主人公に描いた今作では、「復讐」というテーマをどのように表現していたのか。
各シーンに描かれたクムジャの心境を追いながら、考察していきます。
復讐3部作とは
復讐者に憐れみを
パク・チャヌク監督による復讐3部作の第1作目は2002年に公開された『復讐者に憐れみを』。
韓国界の名優、ソン・ガンホが主演を務めた同作。国内外からも高く評価され数々の賞を受賞しました。
2002年に監督した映画『復讐者に憐れみを』で、第3回釜山映画評論家協会賞最優秀作品賞および監督賞やイタリアフィルムノワールフェスティバル審査員特別賞、ウーディネ極東映画祭観客賞などを受賞[8][9]。
出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/復讐者に憐れみを
オールド・ボーイ
その勢いのままに、2003年に公開された第2作が『オールド・ボーイ』。同作は日本の漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』を原作としています。
主演は『親切なクムジャさん』では復讐相手となるペクを演じたチェ・ミンシク。
前作からより深みを増したストーリーなどが評価され、カンヌ国際映画祭など世界中の映画祭で数々の賞を受賞しました。
第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ、第37回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリを受賞した。
出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/オールド・ボーイ
親切なクムジャさん
そして第3作が2005年に公開されたこの『親切なクムジャさん』。
主演を務めたイ・ヨンエは日本でも放送された人気韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』のヒットにより国民的人気を博していました。
しかし、今作ではこれまでの清純なイメージから一変。復讐に徹する悪女役を演じることで彼女の新たな一面を見せます。
クムジャはイ・ヨンエにとって、女優としての幅を広げるきっかけとなった作品といえるでしょう。
作品全体としては前2作に比べて残酷な描写は少なくなっています。
しかし、完結作ということでより深く復讐というテーマに向き合った作品となりました。
前作に比べると大きな受賞はありませんが、こちらも数々の映画祭に招請、ノミネートしています。
第58回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 招請
第62回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門ノミネート作品。
前2作へのオマージュ
作中には前2作へのオマージュとも思える題材、描写が多く描かれています。
『復讐者に憐れみを』へのオマージュ
まずはクムジャが無実の罪で捕まるきっかけとなった誘拐。
クムジャはペクからいい誘拐と悪い誘拐の説明を受けていました。
それは『復讐者に憐れみを』のストーリーでもキーとなる誘拐に対する考えです。
また、クムジャはのちに銃を作ってもらうこととなるソヨンに刑務所内で腎臓を提供していました。
これも主人公の姉が腎臓病であったことを思い起こさせます。
『オールド・ボーイ』へのオマージュ
『オールド・ボーイ』へのオマージュを感じさせるのはクムジャの服役。
クムジャは刑務所に無実の罪で13年間服役することで外の世界に出ることを許されません。
これは主人公が監禁されていたストーリーと繋がりを感じさせます。
そしてクムジャの夢にはペクが犬の姿で出てくるシーン。
これはペク役のチェ・ミンシクが主人公としてウジン役演じるユ・ジテの靴をなめていたシーンと繋がります。
靴を舐める=犬というイメージの連想ができるのではないでしょうか。
友情出演
オマージュだけでなく前2作に出演した役者陣の出演も見逃せません。
『復讐者に憐れみを』からは主演のソン・ガンホとリュウ役のシン・ハギュンがペクに雇われる誘拐犯を演じています。
『オールド・ボーイ』からは多くの出演者が様々な役柄で参加しました。
主演のチェ・ミンシクは今度は復讐される側であるペク役。
ウジン役のユ・ジテは物語のラストに大人になった姿で現れるウォンモ役。