ウジンの姉役、ユン・ジンソは一瞬だけ出演する囚人役。

ミド役のカン・ヘジョンはニュース番組に出演するキャスター役。

ハン警護室長役のキム・ビョンオクはクムジャに魅了され出所を出迎える伝導師役。

催眠術師のヒョンジャを演じたイ・スンシンが服役後ペクと結婚するイジョン役。

このように名もないような小さな役にまで前2作のキャストを起用することで、より3部作を総括するような演出になっています。

ペクを撃てなかった理由

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この作品の中でクムジャは自身の心境をあまり言葉として発してはいません。

その変化は彼女の表情や行動から読み取ることができます。

その中でも大きな心境の揺れを描いたのがペクを撃てなかったシーン。

ジェニーからの許し

ペクへの復讐のためだけに生きてきたクムジャにとって、やっとその恨みをはらすことができる瞬間でした。

しかし、その直前に娘のジェニーと心を通わせることができたことがもっとも大きな要因でしょう。

クムジャはジェニーに3回以上謝ったことで、彼女と暮らすことができなかった罪を償いました。

自らが許しを受けることで、自分も相手を許すべきかもしれないという迷いが生まれたのではないでしょうか。

ジェニーとの人生への未練

そして、ペクを殺して復讐を果たすということはまた罪を犯すことになります。

そうなれば、また刑務所に戻るか逃亡を続ける生活になり、普通の生活をすることはできません。

この復讐を果たすために人生の全てを犠牲にすることも受け入れていたはずです。

それがジェニーの存在によって、彼女と幸せに暮らす幸せな人生への未練が生まれてしまった。

だからこそ、ペクをすぐに殺すことにためらいが生まれてしまったのでしょう。

苛立ちと葛藤

そんなクムジャを見たペクがアイシャドウに触れながら彼女を煽ることで、クムジャの怒りは沸騰します。

クムジャは思い切りペクに暴行を加えますが、これは自らへの苛立ちが相まった行動でしょう。

最低な人間を許そうとした自分への怒り、ためらいを見せてペクにバカにされたことの恥ずかしさ。

やり場のない感情をペクにぶつけているのです。

その結果、他の事件が発覚して物語がまた大きく動いていきました。

この展開は復讐における1つの大きな側面を映し出しています。

復讐には複雑な感情の交錯が必ず生まれ、それを抜きに復讐という物語は動かないということです。

遺族会議で映し出したもの

他の事件が発覚後の遺族会議からはこの作品の様々なメッセージが読み取れます。

復讐を提案したクムジャ

クムジャは遺族を集めてペクへの制裁について会議させます。

この行為はタイトルである親切なクムジャさんを1番表現しているのではないでしょうか。

作品の前半では刑務所での分かりやすい親切な行いを結びつけていました。

むしろ観ている者にわざとそう読み取らせているのではないかと思うほどです。

そうすることで、この極まり過ぎた親切へのシュールさと怖さを映し出しているのでしょう。

遺族による復讐

クムジャの復讐劇かと思いきや、後半は遺族の復讐劇へと姿を変えていきました。

遺族たちの様々な意見が交換されることで、復讐というテーマの複雑さはより浮き彫りになります。

一般的な正論と感情、他の遺族への疑心など、人間の心の底を映し出すような様々な意見が交わされます。

この時の彼らの立場は殺す側であり、命の危機に晒されているのはペクです。

しかし、遺族が意見を交わす姿は逆に窮地に追い込まれた人間のような状態に見えます。

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